まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

女狐がひとりじめ!

2021-08-27 | 北米映画 20s~50s
 夏も終わりになって、猛暑復活。こないだ夜中に突然気分が悪くなりフラフラに。ベッドに入ってしばらくすると震えが止まらなくなり、やばい!とうとうわしもコロナ?!と戦慄しましたが、どうやら脱水症状だったようです。その夜はほとんど眠れませんでしたが、水分をしっかりとってじっとしてたら何とか仕事には行ける状態にはなりました。コロナも怖いけど、脱水症状や熱中症も甘く見ると命に関わるので、皆様もご用心なさってください。
 最近、寝る前に古いハリウッド映画を観てます。特に往年の大女優主演作が好きです。例えて言うなら、彼女たちは高級ワイン。水道水やジュースとはやはり違います。イケメンオリンピックに続いては、往年の大女優映画祭開催(^^♪
 
 往年のハリウッド大女優映画祭①
 「偽りの花園」
 20世紀初頭のアメリカ南部。富豪夫人レジーナは、兄たちが持ち込んできた綿工場ビジネスでの儲け話に乗り気になり、静養で別居中の夫ホレイスに出資させるため、病身の彼を自宅に連れ戻すが…
 古き佳きハリウッドの名作がたまに観たくなります。特に往年の大女優主演作が好きです。最近の、特に日本の、キレイカワイイだけの毒にも薬にもならん、自称女優の学芸会にはウンザリ。無味無臭の味気ない、小さく無難にまとまってる最近の女優と違い、ハリウッド黄金期に燦然と輝いた大女優たちの、圧倒的で神々しいまでの美貌と強烈で気高い演技は、高級なワインのように私を酔わせてくれます。お松のハリウッド大女優映画祭、第1回はベティ・デイヴィス主演、名匠ウィリアム・ワイラー監督の1941年の作品です。

 ベティ・デイヴィスといえば、悪女の代名詞。ハリウッドという花園に咲いた黒い毒の花。美しく優しいヒロインたちがひしめく中、独自の路線で異彩を放ったベティの香り高い悪の魅力は、今なお危険なまでにかぐわしいままです。みんなから好かれたいという媚びとか、好感度から得る利益を狙った計算高さとは無縁。彼女にとって、女の業と欲の深さこそ演じがいがあったのでしょう。今作のベティも、かなり冷酷で強欲です。でも、すごくカッコいいんですよね~。ヒロインのレジーナは悪女だけど、見ていて嫌悪感や不快感を覚えるような悪ではなく、強い意志と精神力をもって我が道を突き進む信念のヒロインでもあるんです。レジーナの周囲の人々の善良さや臆病さのほうが、見ていてイラっとしました。愚かで弱い善人よりも、賢く強い悪人のほうが、映画の主人公としては魅力的です。

 すべてを独り占めしようと目論む悪辣な女狐レジーナを、毒々しくも威風堂々と演じてるベティ。圧巻だったのは、心臓の薬を求めて苦しむ夫を、無表情で見殺しにするシーン。こ、怖い!映画史に残る強烈な名シーンです。怖いんだけど、決して重苦しくも暗くもないベティ。毅然としつつも優雅、シニカルな冷笑、シレっとした軽やかさは、イザベル・ユペールとカブります。レジーナ役とか「イヴの総て」とか、リメイクするならベティの役はユペりんにピッタリかも。

 ベティasレジーナには、女特有のネチネチした陰険さとか狭量さがなく、どちらかといえば豪快で男っぽいのが小気味よい反面、家族との間でもっとドロドロした醜い争いや愛憎があればよかったのに、という物足りなさも。はじめっからベティはもうそこにいるだけで無双、誰がどう見ても彼女と互角に戦える者なんておらず、すでに勝負ついてる感がハンパないんですよ。ベティのような周囲を飲み込みかき消してしまうほどの存在感、オーラは諸刃の剣みたいなものかも。うまく扱えば名作傑作、扱えなければ失敗作に。ベティと何度も組んだウィリアム・ワイラー監督は、やはり類まれな才人です。

 ラスト、すべてを手に入れながらも大切なものを失ってしまったレジーナの、索漠とした表情も印象的。でも、みんないなくなってむしろせいせいするわ!なサバサバした表情のほうが、レジーナらしいしやっぱ怖い女!と感嘆できたかもしれません。モノクロと衣装の美しさも、ハリウッド黄金期の映画の魅力です。
コメント (4)
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