まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

黒いテレキネシス

2017-03-31 | イギリス、アイルランド映画
 懐かしの60s70s映画②
 「恐怖の魔力 メドゥーサ・タッチ」
 作家のモーラーが瀕死の状態で発見された殺人未遂事件を、ロンドンで研修中だったパリの警視ブリュネルが捜査する。モーラーのカウンセリングを担当していた精神科医ゾンフェルドから、モーラーには恐ろしい念力があり、事件前に起きた旅客機墜落事故も、モーラーの起こしたものだとブリュネルは告げられるが…
 日本では劇場未公開ながら、カルト的なファンが多いと言われている隠れた名作です。「オーメン」とか松本洋子先生の怖い漫画が好きな人なら、すごく楽しめると思います。

 主人公のモーラーが、幼い頃から自分を虐げる者や邪魔をする者、不快な者を、念力で次々と無残に抹殺していくのですが、どんどん制御不可能になって、飛行機墜落や大聖堂破壊、さらに宇宙ステーション事故など、災厄がエスカレートしていくのが恐ろしくも笑えた。念力で人が死ぬシーンの演出やムード、音楽など、かなりオーメンっぽいです。オーメンほどショッキングに残虐でもおどろおどろしくもないのですが、この映画の惨劇もかなり非道いです。特にインパクトがあったのは、少年のモーラーが両親を念力で殺すシーン。無人の車に激突され、ぎゃー!!と高い断崖から海へ落ちていく男女…あんな死に方、絶対イヤ~!と戦慄しつつ、両親の恐怖顔と落下する姿が何か笑えて仕方なかったです。

 恐ろしい念力のせいで、重苦しく孤独な暗闇人生を送っていたモーラー。自分に関わりのある者のみならず、ぜんぜん関係ない人たちまでに災いをもたらしてしまう彼は、まさに悪魔のような男でした。コントロールできなくなり、植物人間になっても念力だけは大暴れな展開が、怖くて面白かったです。でもあの念力、うまく使うことができれば素晴らしい力です。あの魔力を得たら、私なんか私利私欲まみれでガンガン悪用しちゃうことでしょう。そして、ろくな末路を迎えないんだろうな。人を呪わば穴二つですもんね。モーラーのように、死んでほしいと呪ってしまうほどの憎悪や怒りを、私は抱いたことがないけど…

 この映画、今はTVでは放送できないシーンがあります。高層ビルに突っ込んで爆破する旅客機…まるで9.11のテロを予言したような、不吉で衝撃的なシーンです。あと、ロンドンの大聖堂が祭典中に崩壊して、阿鼻叫喚のパニック地獄絵図とかも、現代社会最大の脅威、恐怖のひとつであるテロへの警鐘みたいでゾっとしました。
 モーラー役はリチャード・バートン、ブリュエル警視役はリノ・ヴァンチュラ。今は亡き英仏のシブい名優二人が、静かなる熱演。

 リチャード・バートンは、暗い!重い!カルマ感ハンパないです。睨まれたらホントに呪い殺されそうな鋭い目つきが怖い!でも、インテリダンディな熟年で、悲劇しか似合わない風情に惹かれます。リノ・ヴァンチュラは、刑事役かマフィア役のどっちかしかできなさそうなコワモテ風貌。ナヨっちい軽薄な男が多い中、そのどしっとした力強さ沈着さがカッコいいです。台詞はすべて英語。フランス俳優が英語で演技って、私すごく好きなんですよね~。美貌の女医ゾンフェルド役が、オーメンで悪魔の子ダミアンの母役だったリー・レミックだったのが、なかなか粋なキャスティングでした。モーラーを殺そうとした犯人の正体も、意外で驚かされます。
コメント
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