「モーリス」
20世紀初頭のイギリス・ケンブリッジ。モーリスは名家の子息クライヴと恋に落ちるが、クライヴは肉体関係を拒絶し女性と結婚。傷つき自分の性癖に悩むモーリスは、クライヴの家の下男アレックに迫られ…
80年代に英国美青年ブームを巻き起こしたBL映画の金字塔。初めて観た時はネンネなお子ちゃまだったので、繰り広げられる男同士の恋愛にはただもうお口あんぐりでした。ほとんどSF映画を観てる気分だったというか。久々に観てみると、何も知らなかった頃とは違った感想、発見もあり、しみじみと年月の経過、そして自分の加齢を痛感するのでありました
英国美青年のBL映画といえば、耽美でスノッブなイメージが強いのですが、この「モーリス」は…こんなにライトでスウィートな映画だったっけ?!リアルで生々しいLGBT映画やドラマを観狎れてしまった目には、まるで上質の少女漫画のように映りました。醜く汚く世知辛い現実から、心だけでも逃避したい腐にとっては、まさにうってつけの甘く優美なファンタジーです。そう、これよ、これなんだよねBLって!と陶酔しちゃいましたわ。
イギリス、名門校の男子寮、貴族…BLとしての舞台、整いすぎ!もちろん、BLを奏でるのは美青年オンリー。ブサイクは厳禁なんです!オーソドックスかつ理想的なBLの鉄の掟が、完璧に守られている映画なのです。シリアスで切実なんだけど、決して悲劇的ではなく、ドロドロしてない重苦しくない小難しくないところも、日本の腐から絶大な人気と支持を得ている要因でしょうか。男同士の性的シーンも、ほどよくセクシュアル。それも腐には心地よい。激しすぎる生々しすぎるズコバコには、腐はドン引きするだけですから。
前半は、モーリスとクライヴの友だち以上恋人未満な関係。後半は、モーリスとアレックの身分違いの恋。どっちも大真面目なんだけど、何だろう、決してコメディではないはずなのに、随所にクスっと笑ってしまう(私だけ?)シーンや台詞があるんですよ。まず、モーリスとクライヴの噛み合わない恋愛感情が滑稽。あくまでプラトニック希望(キスまでならOK)、モーリスがちょっとでも純愛を逸脱しそうになると、待ったをかけて逃げる現実的で小心者なクライヴ。彼に振り回され、一喜一憂してオロオロしたりションボリとしたりするモーリスが、可哀想だけど可愛くて。同性愛は病気!と思い悩むモーリスが、知り合いの医者にオチ○チンを診てもらったり、怪しげな催眠治療を受けたり。そのデスパレートさは、かなり珍妙で笑えました。
当時のイギリスでは、同性愛は犯罪。捕まってブタ箱に入れられたり(ホモ狩りみたいなハニートラップ、怖い!)、致命的なスキャンダルになって破滅したり、ゲイの受難と苦難、生きづらさも興味深く描かれてます。クライヴがチキンになるのも至極当然。決して卑怯者ではありません。その保身には、むしろ共感。堂々とLGBTの権利と自由を叫ぶ現代では、決して成り立たない隠微で甘美なシークレットラヴ。やっぱBLの醍醐味はこれですよね~。秘してこそ花な愛。秘めた想い、抑圧された欲望に悶悶としつつ、友だちづきあいを続けるモーリスとクライヴの精神力の強さも驚異的でした。
私は前半のモーリス♡クライヴ編よりも、後半のモーリス♡アレック編のほうが好き!アレック、腐心をグワシと掴む攻めキャラ男子なんですよ~。その大胆かつ可愛すぎる行動、台詞にモーリスのみならず、腐もダダ萌えアレックのモーリスに向ける、カッケー紳士だな!という憧れと、こいつとヤりてぇ~!という欲望が混じった、キラキラメラメラしてる瞳がたまりません。
↑このシーンが、何でもないようでいて、すごくロマンティックで好き。このハシゴが…
高慢ちきな上流社会の連中にコキ使われ、名前も覚えてもらえない扱いをされてる下男アレック。モーリスのちょっとした、人間として当たり前の優しさに触れて落ちる彼の恋が、イギリス階級社会の厳しさ、冷たさを教えてくれます。遠くから見つめるだけ、ちょっと言葉を交わすだけでは物足りなくなったアレックが選んだラブモーションは、何と!夜這い!男が男を夜這いって、すごい衝撃的でしたわ!窓から入ってくるアレックに硬直、まさにヘビに睨まれたカエルなモーリスの様子も笑えた。
男同士の全裸の絡みも、幼心にはショッキングでした。朝ベッドでイチャイチャしてる二人が、すごくエロくて微笑ましい。クリケット中に交わす二人の視線にも胸キュン。でも、同性愛だけでなく身分差という障壁もあって、もちろんラブラブ状態のままではいられません。今度はモーリスがチキン化。逃げるモーリスを一途に待ち続け、追っかけてくるアレックが、切なすぎ可愛すぎ!モーリス、ほんと幸せ者!と、羨望しか感じないハッピーエンドでした。
モーリス、クライヴ、アレックを演じた英国男優たちの好演も、いまや伝説となってます。
モーリス役のジェームズ・ウィルビーは、何となくカープの福井優也に似て見えた、のはきっと私だけでしょうねふっくんをスマートに上品に優しくした感じ。クールで気高い紳士の顔と、禁断の恋に狼狽える未熟な若者の顔のギャップを、繊細かつ豊かな表情で熱演してました。クライヴ役のヒュー・グラントは、当たり前ですが、わ、若い!きれい!今はシワクチャですもんね。この後ハリウッドでまさかのラブコメ帝王になったグラント氏ですが、クライヴを演じてる彼にはすでにコメディの才能の萌芽が見てとれます。クライヴもかなり、グラント氏が十八番とする憎めない調子がいいダメ男っぽいですし。モーリスの妹に包帯グルグル巻きにされた姿など、かなり笑えます。
3人の中で私が最も好きなのは、アレックを演じたルパート・グレイヴス。
か、可愛い!しかも、めっちゃ男♂だし!私の部屋にも、夜這いに来てほしいわ大胆な脱ぎっぷりもアッパレでした。おちりも可愛かった。ルイ・マル監督の遺作「ダメージ」の彼も可愛かったですよね~。
BL映画なのに、3人とも全然ゲイゲイしくもキャマキャマしくもない。それも腐の理想にかなってます。ヒュー・グラントなんて、この映画でも女好きにしか見えませんし。ヒュー・グラントはシワクチャになっても映画で活躍してますが、ジェームズ・ウィルビーとルパート・グレイヴスは、主に英国のTVドラマで地道に俳優業を続けてるみたいです。ルパートはバッチさんの「シャーロック」にも出てますね。往年の面影はあるけど、可愛かったアレックはもういない…
映像も衣装もロケも美しく、BLに興味がなくても「ダウントン・アビー」とか英国ドラマが好きな方なら、ぜったい観るべき映画です。「眺めのいい部屋」など、英国の上流社会もの映画で一世を風靡したジェームズ・アイヴォリー監督は、カリフォルニア生まれのアメリカ人!今でも映画は撮ってるのかな?日本ではちっとも新作が公開されなくなりましたよね~。アイヴォリー監督作の常連だったヘレナ・ボナム・カーターが、チョコっとだけゲスト出演してます。
それにしても。英国のハイソな人々の優雅でリッチな生活には憧れるけど、食事のたびに正装しなきゃいけないのが大変そう。普段でもキチっとパリっとした服を着てないといけないみたいだし。服装だけは、日本の庶民のほうがいいや!と思わせます
20世紀初頭のイギリス・ケンブリッジ。モーリスは名家の子息クライヴと恋に落ちるが、クライヴは肉体関係を拒絶し女性と結婚。傷つき自分の性癖に悩むモーリスは、クライヴの家の下男アレックに迫られ…
80年代に英国美青年ブームを巻き起こしたBL映画の金字塔。初めて観た時はネンネなお子ちゃまだったので、繰り広げられる男同士の恋愛にはただもうお口あんぐりでした。ほとんどSF映画を観てる気分だったというか。久々に観てみると、何も知らなかった頃とは違った感想、発見もあり、しみじみと年月の経過、そして自分の加齢を痛感するのでありました
英国美青年のBL映画といえば、耽美でスノッブなイメージが強いのですが、この「モーリス」は…こんなにライトでスウィートな映画だったっけ?!リアルで生々しいLGBT映画やドラマを観狎れてしまった目には、まるで上質の少女漫画のように映りました。醜く汚く世知辛い現実から、心だけでも逃避したい腐にとっては、まさにうってつけの甘く優美なファンタジーです。そう、これよ、これなんだよねBLって!と陶酔しちゃいましたわ。
イギリス、名門校の男子寮、貴族…BLとしての舞台、整いすぎ!もちろん、BLを奏でるのは美青年オンリー。ブサイクは厳禁なんです!オーソドックスかつ理想的なBLの鉄の掟が、完璧に守られている映画なのです。シリアスで切実なんだけど、決して悲劇的ではなく、ドロドロしてない重苦しくない小難しくないところも、日本の腐から絶大な人気と支持を得ている要因でしょうか。男同士の性的シーンも、ほどよくセクシュアル。それも腐には心地よい。激しすぎる生々しすぎるズコバコには、腐はドン引きするだけですから。
前半は、モーリスとクライヴの友だち以上恋人未満な関係。後半は、モーリスとアレックの身分違いの恋。どっちも大真面目なんだけど、何だろう、決してコメディではないはずなのに、随所にクスっと笑ってしまう(私だけ?)シーンや台詞があるんですよ。まず、モーリスとクライヴの噛み合わない恋愛感情が滑稽。あくまでプラトニック希望(キスまでならOK)、モーリスがちょっとでも純愛を逸脱しそうになると、待ったをかけて逃げる現実的で小心者なクライヴ。彼に振り回され、一喜一憂してオロオロしたりションボリとしたりするモーリスが、可哀想だけど可愛くて。同性愛は病気!と思い悩むモーリスが、知り合いの医者にオチ○チンを診てもらったり、怪しげな催眠治療を受けたり。そのデスパレートさは、かなり珍妙で笑えました。
当時のイギリスでは、同性愛は犯罪。捕まってブタ箱に入れられたり(ホモ狩りみたいなハニートラップ、怖い!)、致命的なスキャンダルになって破滅したり、ゲイの受難と苦難、生きづらさも興味深く描かれてます。クライヴがチキンになるのも至極当然。決して卑怯者ではありません。その保身には、むしろ共感。堂々とLGBTの権利と自由を叫ぶ現代では、決して成り立たない隠微で甘美なシークレットラヴ。やっぱBLの醍醐味はこれですよね~。秘してこそ花な愛。秘めた想い、抑圧された欲望に悶悶としつつ、友だちづきあいを続けるモーリスとクライヴの精神力の強さも驚異的でした。
私は前半のモーリス♡クライヴ編よりも、後半のモーリス♡アレック編のほうが好き!アレック、腐心をグワシと掴む攻めキャラ男子なんですよ~。その大胆かつ可愛すぎる行動、台詞にモーリスのみならず、腐もダダ萌えアレックのモーリスに向ける、カッケー紳士だな!という憧れと、こいつとヤりてぇ~!という欲望が混じった、キラキラメラメラしてる瞳がたまりません。
↑このシーンが、何でもないようでいて、すごくロマンティックで好き。このハシゴが…
高慢ちきな上流社会の連中にコキ使われ、名前も覚えてもらえない扱いをされてる下男アレック。モーリスのちょっとした、人間として当たり前の優しさに触れて落ちる彼の恋が、イギリス階級社会の厳しさ、冷たさを教えてくれます。遠くから見つめるだけ、ちょっと言葉を交わすだけでは物足りなくなったアレックが選んだラブモーションは、何と!夜這い!男が男を夜這いって、すごい衝撃的でしたわ!窓から入ってくるアレックに硬直、まさにヘビに睨まれたカエルなモーリスの様子も笑えた。
男同士の全裸の絡みも、幼心にはショッキングでした。朝ベッドでイチャイチャしてる二人が、すごくエロくて微笑ましい。クリケット中に交わす二人の視線にも胸キュン。でも、同性愛だけでなく身分差という障壁もあって、もちろんラブラブ状態のままではいられません。今度はモーリスがチキン化。逃げるモーリスを一途に待ち続け、追っかけてくるアレックが、切なすぎ可愛すぎ!モーリス、ほんと幸せ者!と、羨望しか感じないハッピーエンドでした。
モーリス、クライヴ、アレックを演じた英国男優たちの好演も、いまや伝説となってます。
モーリス役のジェームズ・ウィルビーは、何となくカープの福井優也に似て見えた、のはきっと私だけでしょうねふっくんをスマートに上品に優しくした感じ。クールで気高い紳士の顔と、禁断の恋に狼狽える未熟な若者の顔のギャップを、繊細かつ豊かな表情で熱演してました。クライヴ役のヒュー・グラントは、当たり前ですが、わ、若い!きれい!今はシワクチャですもんね。この後ハリウッドでまさかのラブコメ帝王になったグラント氏ですが、クライヴを演じてる彼にはすでにコメディの才能の萌芽が見てとれます。クライヴもかなり、グラント氏が十八番とする憎めない調子がいいダメ男っぽいですし。モーリスの妹に包帯グルグル巻きにされた姿など、かなり笑えます。
3人の中で私が最も好きなのは、アレックを演じたルパート・グレイヴス。
か、可愛い!しかも、めっちゃ男♂だし!私の部屋にも、夜這いに来てほしいわ大胆な脱ぎっぷりもアッパレでした。おちりも可愛かった。ルイ・マル監督の遺作「ダメージ」の彼も可愛かったですよね~。
BL映画なのに、3人とも全然ゲイゲイしくもキャマキャマしくもない。それも腐の理想にかなってます。ヒュー・グラントなんて、この映画でも女好きにしか見えませんし。ヒュー・グラントはシワクチャになっても映画で活躍してますが、ジェームズ・ウィルビーとルパート・グレイヴスは、主に英国のTVドラマで地道に俳優業を続けてるみたいです。ルパートはバッチさんの「シャーロック」にも出てますね。往年の面影はあるけど、可愛かったアレックはもういない…
映像も衣装もロケも美しく、BLに興味がなくても「ダウントン・アビー」とか英国ドラマが好きな方なら、ぜったい観るべき映画です。「眺めのいい部屋」など、英国の上流社会もの映画で一世を風靡したジェームズ・アイヴォリー監督は、カリフォルニア生まれのアメリカ人!今でも映画は撮ってるのかな?日本ではちっとも新作が公開されなくなりましたよね~。アイヴォリー監督作の常連だったヘレナ・ボナム・カーターが、チョコっとだけゲスト出演してます。
それにしても。英国のハイソな人々の優雅でリッチな生活には憧れるけど、食事のたびに正装しなきゃいけないのが大変そう。普段でもキチっとパリっとした服を着てないといけないみたいだし。服装だけは、日本の庶民のほうがいいや!と思わせます