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ベリナール・ウェルベル『蟻』

2007-07-05 18:29:13 | ノンジャンル
 昨日九州から帰って来て、留守中の新聞を見ていたら、朝日新聞の月曜日の夕刊に「男の夢ファッション」のコーナーで安齋肇さんのかなりマヌケな写真が載っていました。未見の方は、図書館で見る価値ありです。

 さて、吾妻ひでお氏が「女王アリがたった一匹から家族を作っていく過程が面白い」と評しているベルナール・ウェルベルの「蟻」を読みました。フランスでミリオンセラーになり、22カ国で翻訳された本だそうです。
 内容は、人間の世界の話とアリの世界の話が交互に語られます。
 まず、人間の世界の話。ジョナサン一家は、蟻の研究家だった伯父エドモンの屋敷を相続し住むようになりますが、伯父の「地下室に立ち入り禁止」の掟を破り、愛犬、父、母、警察、息子と次々に地下に下りて行き、戻って来ません。最後には、親戚の女性が昔エドモンと蟻の研究をしていた2人と共に地下へのらせん階段を下りて行き、ドアを開けた瞬間に襲って来たネズミの大軍を撃退し、謎を解いて壁を通り抜け、後戻りができない仕掛けを通り、今度はらせん階段を上がって行くと、そこは教会で、それまで地下に下りた人はほとんど皆そこにいて、閉じ込められています。ジョナサンはここにユートピアを作るつもりだった、と言います。
 さて、蟻の世界の話。赤アリの雄アリ327号(女王アリから327番目に産まれた蟻)は遠征隊に加わりますが、帰りに白アリの新兵器に仲間を全員一瞬のうちに殺されます。巣に帰って警告し、徐々に仲間を増やし、スパイが潜入していることも分かります。やがて数百のスパイアリが侵入してきて、友好都市は小型ありに占領されてしまいます。が、327号の巣は小型アリを捕虜にし、最終的に白兵戦になり、赤アリが勝ちます。327号はスパイに殺され、彼の意を受けた雌の56号は女王アリとなり、自分の都市を作ります。白アリの新兵器を探しにいった二匹は、毒ガスで全滅した白アリの巣を見つけ、地の果てまで行きますが、結果が得られず帰還します。56号の作った都市は戦闘専門のアリである奴隷使役アリの攻撃を受けますが、撃退します。
 という話です。これにエドモンが主にアリについて書いた百科事典の項目がところどころに挿入されています。
 蟻がフェロモンと呼ばれる匂いを使って会話をする、というのが面白いところかもしれません。また、吾妻ひでお氏が言ってるように「女王アリがたった一匹から都市を作って行く」ところも面白いでしょう。卵を産み、自分の体力がなくなると、自分が産んだ卵を食べ、幼虫を食べ、また卵を産んで行く、といった感じで子どもを作っていくのです。ただ、フランス文学の特徴かもしれませんが、哲学的な文章が多く、理解するのに疲れます。描写も結構グロテスクなのが多く、食傷気味になるかもしれません。蟻の不思議な生態に興味のある方には、オススメです。