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オースン・スコット・カード『シャドウ・パペッツ』

2007-07-10 15:25:45 | ノンジャンル
 吾妻ひでお氏が「クライマックスにカタルシス」を感じたというオースン・スコット・カードの「シャドウ・パペッツ」を読みました。エンダー・シリーズの第三作目だそうです。
 ビーンは覇権政府のトップ=ヘゲモンであるピーターのもと、勢力をインドまで拡大した中国で捕らわれている極悪人アシルを奪回する軍事作戦に反対しますが、彼の部下のスリヤウォングに命令し、奪還に成功します。ペトラは愛するビーンと行動を共にし、守ってほしいと言いますが、ビーンはかえって危険が増すと反対します。ピーターの母テレサはアシルに暗殺される危険から夫とともに避難するように言われますが拒否し、逆にアシムを暗殺しようとしますが、失敗します。。スリヤウォングの警告でヴァーロミは故郷のインドに向かい、道に石を並べて壁を作るという中国に対する抵抗運動を始めます。アシルはピーターに協力を約束します。遺伝子操作の権威アントンは遺伝子操作を受けたビーンに、ペトラとの間に子供を作るよう説得し、同意を得ます。ピーターの父はアシルを罠にかけようとしますが、なかなかしっぽを出しません。ビーンとペトラは結婚し、遺伝子操作をした受精卵を多く持つヴォレスキのところへ行き、受精卵を着床させた後、二人は別れます。ビーンはテレサ夫妻にアシルが危険なので、すぐ避難するようにというメールを受け、ピーターと共にブラジルを脱出し、アメリカに向かう飛行機の中から政府の拠点を移すことを発表し、一方アシムは横領の罪でピーターを指名手配し、軍の最高司令官にスリヤウォングを指名します。ペトラはインドネシア人のグループによってダマスカスに向かい、ビーンも二人の暗殺者からこのグループに救ってもらいます。ペトラはカリフとなった旧友アーライと再会し、後から到着したビーンはペトラの受精卵でアシムをおびき出し殺す、と言います。アラブ人は周囲の国と協力し、中国への侵攻作戦を決行します。宇宙ステーションにいるピーター親子らは囮のシャトルを中国に撃墜させ、その間にブラジルに戻ることにします。ウイグル地区では大規模な反乱が起き、中国のハン・ツーはイスラム教国の攻撃だと主張しますが、周囲に一笑に付され、ピーターはヴァーロミに戦闘開始を命じ、インド内の中国の拠点を占領します。インドシナ上陸作戦も成功し、中国は窮地に陥ります。アシルはヴォレスキから奪った受精卵を返すとビーンに行って来ますが、罠と知りながらビーンは指定された場所にピーターと共に行きます。スリヤウォングとアシムが現れ、アシムはビーンを射殺しろとスリヤウォングに命じますが、彼はアシムに剣を渡します。この裏切りのために、スリヤウォングは今までアシムの味方のふりをしていたのでした。ビーンはアシムを射殺します。ビーンのメールで、ペトラのいるダマスカスは、スンニ派とシーア派が和解し、ダマスカスを首都とするイスラム国ができたことで、お祭り騒ぎです。ブラジルでペトラはビーンと再会し、ピーター、テレサらと共に未来の世界を語り合います、という話です。
 クライマックスというのは、ラストでの中国への総攻撃が始まるところだと思いますが、私はそれほどカタルシスは感じませんでした。登場人物が多く、それぞれの行動を追って行くので精一杯で、小説を楽しむところまで行きませんでした。SF好きで政治サスペンスが好きな方にはオススメです。