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津原泰水『綺譚集』

2007-07-09 15:28:20 | ノンジャンル
 吾妻ひでお氏の推薦する津原泰水氏の『綺譚集』を読みました。13の短編からなる本です。
「天使か痛い」では、神経を病んだ主人公は、少女が自転車ごと車にはねられ、その無惨な死体を写真に撮る話。
「サイレン」では、サイレンが鳴る度に町の者が一人消えて行く町で、射精を求める弟と憎悪にあふれる姉が祖父を殺しますが、姉の胸に顔をうずめ射精した後、意識を無くした弟が気付くと姉がいなくなってるという話。
「夜のジャミラ」では、イジメられる約に満足して自殺した少年が動物と合体した矢島君の霊と合体し、ジャミラのような姿になり、矢島君を僕の自殺の原因だといった奥村さんとも合体しようとする話。
「赤假面傳」では、私は画家で生物の美を腹一杯に吸い込んで、一気呵成に絵を描きます。年下の美少年・稲生も赤い仮面をつけて美を吸い取り殺してしまいます。大作のために6人の麗人の命を奪った私の前に稲生が現れ、私は今自分の中にある美のエネルギーを稲生に授けてやろう、と思うという話。
「玄い森の底から」では、書の大家にほれ、最後に子供を産んでほしいとまで言われた私は、内弟子の嫉妬をかって、首を絞められ、殺されながら犯されます。虫のすみかとなった私の肉体は、内弟子に毒をもられ続けている先生が心配で、先生の家をめざしますが、内弟子に灯油をかけられ焼かれてしまう、という話。
「アクアポリス」では、学校の帰りに女の子が池に落ちて死にます。同級生が夏に沖縄に帰ると、彼女が言っていたのを思い出し、死体を海に流します。が、翌日彼女は普通に学校に来て、アクアポリスが沖縄に運ばれて行った日に彼女も消える、という話。
「脛骨」では、交通事故で右足を切断したホステスを見舞った、同じ店で働くバンドマンが、行方不明だった彼女の足を見つけます。三十年後、入院した彼女に足の骨をバンドマンが返す、という話。
「聖戦の記録」では、兎を愛好し、犬を目の敵にしているヒロスエリョウコを中心とした老人集団から飼い犬のイシダイッセイに投石されたおれは幼馴染みのソリマチタカシと兎を殺害し、死体を木に吊るします。するとおれたちの犬が惨殺され、おれたちはヒロスエリョウコを殺す、という話。
「黄昏抜歯」は、歯を治療する話。
「約束」は、観覧車に間違って乗ってしまった男女が一目惚れし、その夜急死した男が女が死ぬまで霊となって見守る、という話。
「安珠の水」では、娼婦の女がプールで女の子を産み、海岸を転々として男に出会いますが、住む家がほしいと言うと、売女よばわりされて金をくれます。ある日、海藻だらけの人影から娘の声がしますが、それは単なる海藻の固まりで、なぜかテレビに娘が出ていた、という話。
「アルバトロス」では、近親相姦の町に白い兵隊がやってきます。上の姉の夫は殺され、彼女は僕とセックスします。彼女は地雷でバラバラになり、僕はしたの姉とシックスナインに明け暮れます。そして「少佐」をフェラチオし、フィストアナルファックをする、というエロ小説。
「古傷と太陽」では、石垣島出身ということで付き合った男は、夜になると腹の傷痕が開いて、青い光を発します。その傷は以前女を殺した時に受けた傷でした。男は女と別れようとしたところ、首のない女の腹の中に頭をつっこんで死んでしまいます。女の頭は石垣島にあるらしい、という話。
「ドービニィの庭で」は、ゴッホの描いた「ドービニィの庭」を再現するように頼まれ、妹は注文主の子供を産みますが、絵の強烈な緑と同じ色をした異物が産まれて来る、という話。
「隣のマキノさん」は、虫相手に地雷を庭に埋め、有刺鉄線で庭を囲み「立ち入り禁止」の札をつけているマキノじいさんの話。
 ということで、おどろおどろしい話ばかりで、その上文章も難解で、物語の意味不明なものばかり。なんでこんな話を書くんだろう?と首をひねりまくりました。まあ、面白いかな、と思ったのは「「赤假面傳」と「聖戦の記録」ぐらいでした。おどろおどろしい物語の好きな方には、オススメです。