スカパーで、みうらじゅん氏が推薦する、「ゆきゆきて、神軍」で有名な原一男監督・撮影の'94年作品「全身小説家」を遅ればせながら見ました。
小説家・井上光晴氏についてのドキュメンタリーです。本人をとらえたドキュメンタリー・シーンと関係者へのインタビューからなっています。冒頭、講演会で沖縄戦を特別視するのはおかしい、と語る井上氏は、次のシーンでは女形のメーキャップをしていて、「津軽海峡冬景色」に合わせ珍妙な踊りを見せ、観客の爆笑を誘います。’90年正月の作家・埴生雄高氏宅での新年会で、井上氏は自分の劇団を作りたい、と言います。その場にいた男性を主役にして、虐め抜いて殺す劇だといいますが、その男性は井上氏ほど自分のことを理解してくれる人はいない、と言います。すると、別の男性に対して急に怒りだし、出て行け、という井上氏。
’89年8月にS字結腸ガンの手術を受けた井上氏は、医者と面会します。とここで、突然井上氏自ら語る自分史。1926年5月15日、旧満州旅順で生まれ、現在63才。父は伊万里の焼き物作り。満州で母と会い結婚しますが、放浪癖がたたり失踪。母は再婚し、井上少年が4歳の時に生別。1933年、7才の時、祖母、妹と共に佐世保に帰国し、祖母が露店市場で焼き物を商い、その店番をしますが、生活が困窮し、崎戸炭鉱へ移り、祖母が寮母として働きました。炭鉱事故の話をする井上氏。そのころ祖母は霊媒師もしていた、と言います。井上氏を生涯の夫と思っているという独身女性。母に誉められた耳を初体面の時に井上氏に誉められたことから彼のことを神格化する女性。勉強会で生徒の小説を罵倒する井上氏。スナックで踊る井上氏。部落解放文学賞の選考会に初回から参加している井上氏。ガンは肝臓に転移していて、’90年7月に手術をし、瀬戸内寂聴氏が見舞いに来ます。退院し、敦賀での講演、佐世保での執筆、小料理屋で踊り、トランプ占いをする井上氏。湾岸戦争に抗議し、断食をする寂聴氏を見舞います。崎戸を訪れ、初恋の人を語り、母への思慕を語る井上氏。母は75才で亡くなり、枕元には井上氏の本があったそうです。ガンの肺への転移が分かり、残る命が短いと語る医師。’92年の新年会で元気だった彼は、その年の5月30日に帰らぬ人となりました。葬式では寂聴氏が弔辞を述べます。
すごい映画だと聞いていたので、もっとはちゃめちゃな人なのかと思っていましたが、すこぶるまともな人でした。ただ、これだけ既婚者でもてるのは、すごいと言えばすごいですね。まあ、変な踊りをするのが変人と言えるかも知れません。井上光晴氏の小説に興味のある方は楽しめると思います。
小説家・井上光晴氏についてのドキュメンタリーです。本人をとらえたドキュメンタリー・シーンと関係者へのインタビューからなっています。冒頭、講演会で沖縄戦を特別視するのはおかしい、と語る井上氏は、次のシーンでは女形のメーキャップをしていて、「津軽海峡冬景色」に合わせ珍妙な踊りを見せ、観客の爆笑を誘います。’90年正月の作家・埴生雄高氏宅での新年会で、井上氏は自分の劇団を作りたい、と言います。その場にいた男性を主役にして、虐め抜いて殺す劇だといいますが、その男性は井上氏ほど自分のことを理解してくれる人はいない、と言います。すると、別の男性に対して急に怒りだし、出て行け、という井上氏。
’89年8月にS字結腸ガンの手術を受けた井上氏は、医者と面会します。とここで、突然井上氏自ら語る自分史。1926年5月15日、旧満州旅順で生まれ、現在63才。父は伊万里の焼き物作り。満州で母と会い結婚しますが、放浪癖がたたり失踪。母は再婚し、井上少年が4歳の時に生別。1933年、7才の時、祖母、妹と共に佐世保に帰国し、祖母が露店市場で焼き物を商い、その店番をしますが、生活が困窮し、崎戸炭鉱へ移り、祖母が寮母として働きました。炭鉱事故の話をする井上氏。そのころ祖母は霊媒師もしていた、と言います。井上氏を生涯の夫と思っているという独身女性。母に誉められた耳を初体面の時に井上氏に誉められたことから彼のことを神格化する女性。勉強会で生徒の小説を罵倒する井上氏。スナックで踊る井上氏。部落解放文学賞の選考会に初回から参加している井上氏。ガンは肝臓に転移していて、’90年7月に手術をし、瀬戸内寂聴氏が見舞いに来ます。退院し、敦賀での講演、佐世保での執筆、小料理屋で踊り、トランプ占いをする井上氏。湾岸戦争に抗議し、断食をする寂聴氏を見舞います。崎戸を訪れ、初恋の人を語り、母への思慕を語る井上氏。母は75才で亡くなり、枕元には井上氏の本があったそうです。ガンの肺への転移が分かり、残る命が短いと語る医師。’92年の新年会で元気だった彼は、その年の5月30日に帰らぬ人となりました。葬式では寂聴氏が弔辞を述べます。
すごい映画だと聞いていたので、もっとはちゃめちゃな人なのかと思っていましたが、すこぶるまともな人でした。ただ、これだけ既婚者でもてるのは、すごいと言えばすごいですね。まあ、変な踊りをするのが変人と言えるかも知れません。井上光晴氏の小説に興味のある方は楽しめると思います。