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高橋秀実『ご先祖様はどちら様』その2

2011-07-02 05:55:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 戸籍調査で壁に突き当たった著者は、戸籍を元に先祖が住んでいた場所へと向かい、現地での聞き取り調査を開始します。父の父の父・高橋準一郎は、地元・宮城県黒川郡の郷土誌を調べると、明治初期、宮城県で尋常高等小学校の校長を歴任していたことが分かります。さらに地元の菩提寺の過去帳を調べると、彼が3人の子供に先立たれたこと、もともと寺子屋のように地元の子供たちに教えていたこと、命の尊さを教えていたことなどをも分かり、著者はその事実を知って不意に嗚咽してしまいます。
 次に母の母、母の母の母、そのまた母・市川りさ、この3人の本籍地である静岡県小島村を訪ね、地元の菩提寺の過去帳に市川りさの名を発見し、そこから下ってその子孫である市川雄一さんに会いに行くと、市川さんは著者が市川さんの父の従兄弟にそっくりであり、自分たちも著者も「将来のことなど考えず今が楽しければいいのだが、やる時にはやる」血筋であること、そして祖先は武田信玄に甲州を追われた市川大門の出の平家で、その証拠に家紋が九曜星であることを著者に教えてくれます。そして著者は、母の妹に「ひで」と「ミネ」がいて、自分の名付け親である母の弟が無意識的にそれをくっつけて著者の名前にしたことも知ります。
 市川大門に向かった著者は、市川大門出の市川姓は平家出と源氏出の両方の説があることを知る一方、自分たちが市川大門の出ではないかと考える何人かの市川さんに会いに行って話を聞き、また、市川を遡って至る清和天皇の陵墓を京都に訪ね、最後には母方の祖父と祖母の墓参りを久しぶりにし、生前に彼らに優しい言葉をかけることがなかった自分を悔いて、この本は終わるのでした。

 この本で新たに知ったことは、そもそも宗教とは「宗派の教え」の略で、教祖の跡継ぎという意味であること、氏・姓は大和時代から始まり、苗字は平安時代に武士が名乗るようになったもので、江戸中期に氏・姓がすたって現在に至っていること、苗字の分布は飛騨山脈によって東西で異なること、女性は籍に自由に出入りすることができ、自由に生まれ変わることができること、したがって女性は前世に興味を持つ傾向にあること、地球にヒトが存在するようになってから生まれたヒトの数は少なめに見積もっても800億人にもなり、現在の地球人口50億人は平均して16回ほど生まれ変わる計算になること、などなどでした。私も著者と同じように自分の先祖に興味を持ち、普段から母に聞き取り調査(?)をしていたりするのですが、やはり生前におじいちゃんたちともっと話をしたかったと切に思ったりする点で、著者と思いを一にしました。また、先祖の人たちから連綿と連なった命の連鎖の先っぽに自分がいると考えると、少し安心するというか、孤独感がまぎれるというか、不思議な気持ちになったりもする、そんなことをも感じさせてくれ、またその他、様々な感情をも呼び起こしてくれる本でした。一読することをオススメします。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto