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ジャレド・ダイアモンド『文明崩壊(上)』その1

2011-07-05 05:19:00 | ノンジャンル
 昨晩読書に疲れて、何気なくビルの『Sunday at the Village Vanguard』を聞いていたら、今年の6月25日(先々週の土曜日)が、何と、このレコードと『Waltz for Debby』のライブ録音が行われてからちょうど50周年に当たっていたことに気付いてしまいました。微妙に遅れて気付くあたりが私らしいと言えば私らしいのですが、自分はやはりビルに選ばれた人なのかもしれないなどと、激しく勘違いした、そんな夜でした。(笑)

 さて、ジャレド・ダイアモンドの'05年作品『文明崩壊(上)』を読みました。過去に崩壊・消滅した社会について、なぜそうなったかをケース別に解明しようとした本です。
 まず著者は、過去の社会が自らの環境を害することによって弱体化していった過程は、大まかに分類して以下の8つの要因から成り、それぞれの要因の相対的な重要度は事例ごとに異なったのだと語ります。その要因とは、森林乱伐と植生破壊、土壌問題(浸食、塩性化、地力の劣化など)、水産資源管理問題、鳥獣の乱獲、魚介類の乱獲、外来種による在来種の駆逐・圧迫、人口増大、ひとり当たり環境侵害量の増加という8つ。
 そして現在、このままでは人類絶滅という最悪の結果になると予想する人も多々いますが、著者はそこまで極端な結果になるよりも、今よりかなり低い生活水準の生活になりながらも人類が生き延びるという未来の方がより蓋然性が高いのではと主張します。そして、そうした文明崩壊は、環境資源の希少化によって引き起こされ、もしこの推論が正しいのだとしたら、現在の子供たちや若者たちの世代の未来を救うには、今日の私たちが今すぐに努力を開始しなければならないのだと著者は主張します。
 そして、私たちが未来の世代の文明崩壊をどうすれば回避できるかについて知るには、過去の崩壊した文明社会を検証することが有意義であり、例えば、過去、一旦はヨーロッパで最も貧しく、最も生態系の荒廃した国になったこともあるアイスランドが、その経験から学んだ後は、厳格な環境保護路線を採り、今では国民一人当たり所得では世界有数の数字を誇るようになったことなどを、その実例として著者は挙げます。
 そして本書では、文明社会が崩壊していく潜在的な要因を5つの枠組みにまとめ、そのうちの4つ(環境被害、気候変動、近隣の敵対集団の存在、友好的な取引相手の存在―これら4つは個々の社会によって重要性が高かったり低かったりする)と5つ目(環境問題への社会的対応―これはどの社会においても常に、文明が崩壊に向かうか、向かわないかを決める重大な要素となる)について、文明別に具体的に検証していくことを著者は宣言します。そして、その検証に使われる具体的な方法は、著者が前著『銃・病原菌・鉄』でも採用されていた比較研究法であることもあわせて明らかにされるのでした。(明日へ続きます‥‥)

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/