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西加奈子『白いしるし』

2011-07-15 06:15:00 | ノンジャンル
 昨日、徳島から無事に帰ってきました。2泊3日で徳島の主だった観光名所を味わい尽くすという強行軍でしたが、最後はくたくたになりながらも、久しぶりにいい旅を満喫することができました。詳しいご報告は後日こちらで行いたいと思っています。

 さて、西加奈子さんの'10年作品『白いしるし』を読みました。
 私の友人で、女性誌やカルチャー誌の写真家をしている瀬田は、私が絶対気に入ると言って、彼の知人である画家の『間島昭史(あきふみ)』の個展へ私を連れていきます。私はそこで大きな白い紙に白い絵の具で描かれた富士山の絵に釘付けになり、初めて会った『間島昭史』にも、恋の確信を抱きます。しかし、彼と別れた直後、私は彼に恋人がいることを瀬田の話から知り、彼に二度と会わないようにしようと思いますが、しばらくして瀬田から『間島昭史』と一緒に飲まないかと誘われると断れず、出かけていきます。瀬田は『間島昭史』は悪意や狡いのが嫌いで、私の個展を『間島昭史』が以前に見に行った時、めったに人の絵を好きとは言わない『間島昭史』が、私の絵を好きになったと言っていたと『間島昭史』が来る前に私に教えてくれると、私はぼうっとしてしまいます。後から現れた『間島昭史』は、私のことを正直な人だと言い、私は彼のことを慎重に言葉を選んで話す人だと思います。そして彼の個展の最終日、私は一人で彼に会いに行ってしまい、夜の公園で二人で絵の話をしているうち、お互いすっかり打ち解けてしまいます。そして、それから度々夜の公園で二人で会うようになり、私たちはお互いによく笑うようになっていくのですが‥‥。
 ここまでで約60ページ、全166ページの3分の1を過ぎた辺りでしたが、先を読むのを断念してしまいました。「ふたりでは、会わないようにしていた。」という文から始まるこの小説は、改行もスピーディで読みやすく、「私」の気持ちの描写にもノレたのですが、私や瀬田の関西弁の台詞が生き生きとしていて魅力的なのに比べ、『間島』の東京弁の台詞は総じて生真面目すぎて魅力に欠け、そんな言葉を発する男に夢中になる「私」の心情にも次第にリアリティが感じられなくなってしまい、読むのが苦痛となってしまったというのが正直な感想です。これ以降を飛ばし読みした感じでは、『間島』の恋人も登場し、ラストでは「私」が冒頭で釘付けになる富士山の絵が再び重要な役として登場するようで、ちょっと期待させる内容だっただけに残念です。人によって好き嫌いの別れる作品だと思いますので、ご自分でまず読んでみることをオススメします。

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/