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文藝別冊・KAWADE夢ムック『総特集 山田太一 テレビから聴こえたアフォリズム』その1

2014-05-09 07:32:00 | ノンジャンル
 '13年に刊行された、文藝別冊・KAWADE夢ムック『総特集 山田太一 テレビから聴こえたアフォリズム』を読みました。
 中でも印象的だった部分を書き出してみると‥‥
・「あえていえば、時代の流れが激しくなった時にはとるに足らないものになって行く小さな本当、小さな矛盾、小さな誤解、小さな深淵、小さな善悪、小さな夢、小さな物語は、まだ日本では書く余地があると思うから(ないのかな?)、急いで未来に適応しないで、アナクロニズムを生きるのも積極的なことなのではないか、などと思っている」(山田)
.「戦争であまりにたくさんのものが壊れてしまった。その上若い世代がさらに壊すことを目指すこちゃないだろう」(ファン・デン・ボッシュ)、「人間は理路整然とはしていませんね。マルクスとかの理念は『こうすると段階を踏んで理想の社会が来る』と、理路整然しすぎているから信用できない(後略)」(山田)
・「全部割り切ってすぐさま問題を解決してすっきりしようっていうような政治家は軽く見られる。政治にも人生にも曖昧にしておかなきゃいけないものがきっとあるって、イギリスの現実主義には、そういうところがあるらしいんですね」(山田)
・「(前略)作家のミラン・クンデラが『19世紀から20世紀にかけてのいわゆる名作の主人公たちは、皆、独身である』というようなことを書いているんですよ。現実には、結婚していて、子どもを抱えている人間の方が圧倒的に多いわけです。それを19世紀、20世紀の文学は描いていない。(中略)それに比べて、私たちの周りにいるような普通の人はあまり文学化されないまま、しかし、彼等は強いリアリティを持って生きているんです。(中略)対して、テレビドラマというものは、文学や映画が描いてこなかったものを描いてきたと思うんです」(山田)
・「本当は、理屈が通らない怒りであるとか、ヒステリーであるとか、そういうものを重く見なきゃいけないんですよね」(山田)
・「実際、いつ地震に遭っても交通事故に遭っても死病にかかっても不思議はない人生を、何十年か、なんとか生きて来られたということは驚くべきことであり、それに深く思いをいたせばわざわざ旅に出なくても、深い幸福感を得られるかも知れず、また旅に出ても、目にするものの味わいが深いにちがいない」(山田)
・「あんな一生懸命な人たちにどうせなんて言えない」(木皿泉さんが書いた台詞)
・「僕は組み立てたりはしないんですよ。物語のあらすじを前もって構成しておくようなプロットは作らない」(山田)
・「(回想やモノローグは)たしかに説明のために使っているのはダメかもしれないけど、そうじゃない効果的なドラマの作り方もありますもんね」(山田)
・「モノを考えていることや、理念というのは、最終的なドラマの力にならないように思うんですよ。発案したときは知的に考える。でも、書くときに細かなリアリティで変わってくる。変わってこないでずっと知的なままでいったものはやっぱりパワーがない」(山田)
・「僕は今の社会はマイナスを回避しすぎると思う。マイナスは、ものすごく豊かなものを持っています。人生でマイナスの想い出の方がずっと細かく覚えているし、心に残るものを生みます」(倉本聰)
・「演劇を志す塾生でも、何を言ってもうなずかない、笑いもしないということが増えて来たのは、対話もコンピュータが相手、視覚一辺倒の社会になっているのでしょう」(倉本聰)
・「正義だって、あまり自分の正義だけ押し通すと歪んでくるでしょ。だからいらないかと言えば、そうではない。理解を目指すのが生きていることだとは思うけれど、理解し合えないと絶望というのは違う。みんな中間でうろうろしているのです」(山田)(明日へ続きます‥‥)

 →「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/