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文藝別冊・KAWADE夢ムック『総特集 山田太一 テレビから聴こえたアフォリズム』その2

2014-05-10 07:29:00 | ノンジャンル
 バズ・ラーマン監督・共同脚本・共同製作の'13年作品『華麗なるギャツビー』をWOWOWシネマで見ました。モノローグが多用され、CGを多用した画面ではカメラが縦横に動き、バブル華やかなりし1920年代のニューヨークの上流階級や成金たちの暮らしとギャツビーの恋を、まさにオモチャ箱をひっくり返したように描いた映画で、同監督の『ムーラン・ルージュ』を想起させました。主演は『スパイダーマン』で主役をしていた俳優、ギャツビーはレオナルド・ディカプリオが演じていました。
 また招待券をもらったので昨日、浅草・東洋館で「平成26年上席漫才大行進・STAP細胞???お笑い細胞◎笑って若返り、笑って健康!!」の公演を見ました。特に“ザ 風林火山”さんの芸に爆笑しました。

 さて、昨日の続きです。
・「僕はものを作る人っていうのは意識的じゃないほうがいいと思います。分析的だったりする人はたいていだめですよね。だからなるべく無意識、企んで無意識を呼び込むくらいのほうがいいと思いますね」(山田)
・「とりわけ(老年期の笠智衆のキャリアを輝かせたのが)『ながらえば』。名古屋の病院に老妻を残し、息子一家と富山で暮らすことになった笠智衆は、妻への思いにせき立てられて、無謀と言えば無謀にも、1人、家を出て名古屋に向かう。トラブルに見舞われながらも何とか名古屋の病院にたどりついた笠智衆は、妻から『富山で待っていて頂でァ。なおったら、すぐ行きますで』と言われるが、『なおらなかったら、どうする?』と言い、『いたい。わしはお前とおりたい。おりたい』と言う。そして涙ぐみ、それを手でぬぐう。(中略)笠智衆は妻に背を向けたまま、このセリフを口にするのだ。笠智衆の肩は四角くて、少年のようだった」(中野翠)
・「人生も生きてみなければ分からない。少年期も、青年期も、中年、老年期も、(中略)愛も恋も、嫉妬も失意も、孤独も病気も仕事も(後略)」(山田)
・「人生は素手で立向かうには、厄介なものに満ちている。先人の声を聞いて、身を鎧(よろ)うことも悪くない」(山田)
・「なにかのはめで道徳論を書かざるをえないことになれば、わたしは義務の第一位に上きげんをもってくるに違いない」(アラン)
・「状況として必要ないときでも笑顔を浮べること。怒りを感じているとき、みじめな気持ちのとき、世界にすっかり押しつぶされた気分のときに笑顔を浮べること――それで違いが生じるかどうか見てみること。
 街で他人に微笑みかけること。ニューヨークは時に危険な街であるから、用心は必要である(略)そうはいっても、とにかくなるべく頻繁に、知らない人に微笑みかけること。現金を渡してくれた銀行員に、食べ物を持ってきてくれたウェイトレスに、地下鉄で向かい合せに座った人に。
 誰か笑顔を返してくれる人がいるかどうか見てみること。それぞれの日に受けた笑顔の数をたどっておくこと。笑顔が返ってこなくてもがっかりしないこと。
 受けとった笑顔一つひとつを、貴い贈り物と見なすこと」(ポール・オースター)
などです。
 また、この本の中で山田さんがアフォリズムに富んだ本として紹介していて、読みたいと思った本には、シオランの『歴史とユートピア』、『フォースター評論集』、『カフカとの対話』、『チェーホフの手帖』、ミラン・クンデラ『小説の精神』があり、また、私が中1の時に家族とともに熱心に見ていたNHKの朝の連続ドラマ『藍より青く』も山田太一作品だったこと、山田さんと寺山修司さんが大学の同級生で親しかったこと、小沢健二さんが現在アメリカに拠点を移し、環境問題に取組んでいることを初めて知りました。
 山田太一さんについて知りたかったことをほぼ全て知ってしまった気にさせてくれる本です。山田太一さんファンには必読の書だと思います。

 →「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/