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神代辰巳監督『赫い髪の女』その6

2015-09-23 06:15:00 | ノンジャンル
 昨日の報道ステーションで、岸田外務大臣とロシアの外相が会談をした後の、共同記者会見の模様を流していましたが、岸田外務大臣が「北方領土について、有意義な話し合いができた」と言うのに対し、ロシアの外相は「北方領土の話など、一切しなかった」と言い、先日の安保法制に対する質問では、岸田外務大臣が「多くの国の賛同を得られた」と述べると、ロシアの外相がすぐに「アメリカのパワー外交に組するもので、かえって南シナ海の緊張を強めるなど、懸念さえる」と言い添えるなど、双方の言い分がまったく異なり、面白いものになっていました。会見後、岸田外務大臣は「言葉の行き違いによるものだ」と一生懸命火消しをしようとしていましたが、結局岸田外務大臣の嘘がバレバレになっているのが分かり、国民に対する政府の不誠実さが、こんなところにも表れているのだなあと、改めて思った次第です

 さて、また昨日の続きです。
女、起き上がりながら「嫌や。あのスーパー、(インスタントラーメンを鍋に入れながら)安いなあ。玉子だって、めちゃめちゃ安いで。あの棒のついたチョコなんか、他より2,3円は安いし」。コーヤン、笑い、枕投げ、「何や、2,3円かいな」と腹ばいになりタバコ吸う。「この辺の人はそれを知らんで、安い買い物しとるんや。(泣き止み)あのスーパー、何であんなに安いんやろ。うふふ。近くに鶏小屋があるからかいな」。コーヤン、足でコチョコチョとし、「ココココ」と言うと、女、また泣きだす。「どうせな、今日はスーパーで玉子買おうか、どないしようか迷って……買っといてなかったんや。(怒って、ラーメンにはしを突き刺す。泣きながらラーメンほぐす。)玉子、一つでも買うとけばよかったなあ。(元気取り戻し)そしたら、インスタントっていう感じにならへんもんなあ」。「あー」とコーヤン起き出す。「何やしら、この部屋に入って来たら、女の匂いがムッとした」「どない匂い?」「どないなって女の匂いや。何ちゅうか、クラッカーみたいな匂いや」。女、笑い「そやったらあんたの匂いや」「前はそんな匂い、せえへんかったぞ、この部屋」「独身の男にはな、独特の匂いがこびりついとるんや。(コーヤンにしなだれかかる。)あんたはこの頃になって、だんだん取れてきたみたいやけど、始めのうちは何やしらムッとした匂いがこびりついとった。よう知っとるわ、うち。うちかてこんなんやけど、鈍いことあらへん。初めてこの部屋に来た時、何やしらムッとした匂いがしとったんやで。何の匂いやろうと、ずーっと思っとったわ」。コーヤン、不機嫌に寝ころび「それは分からなかったなあ」「うふふ、分からへんと思う? あんたを抱いたことのある女やないと、分からへんやろうなあ」「雨、止んでもうたなあ」。水滴の音。
 トラックのタイヤから部屋の灯りへパンアップ。洗濯物の影。
 たき火の傍らで、赤いジャージのタカオと黒い服のカズコ。「行くう」と言うカズコを抱き起こして「そったら辛抱できへんか?金儲けたら、すぐに戻ってくるさかい。親父さんに頼んで所帯持つようにするから。なあ、カズコ、待っとけや」。「嫌や、一緒に行く」と泣くカズコ。「乳首がちくちく痒いんや。(乳もんで)もう出るんやから」「出えへんて」「出るんやから。見とって。出るんやから。痒い。痒い。出るんやから」「出えへんて」「出るんやから。出るんやから」。
 赤いコタツの上に、鍋を乗せたコンロ、ティッシュボックス。手前に電球。パン。1階から「うう~ん」の声。眠ってるコーヤンと松葉崩しをする女。コーヤン、起きて「何や」。女、動きながら「あ~、下の女が豚のような声出して鳴いとる」「お前のよがりも下じゃあんなように聞こえるじゃろ」「うちがあんな声出すかいな。やらしいなあ。やらしいなあ」。女、浴衣姿。女「何でや」コーヤン「そんなあ、生きてる証拠やがな」。コーヤン、起き出し女を抱く。「なあ、なあ、うちも(両足をコーヤンの肩に乗っけて)豚のような声出させてほしい。なあ」。挿入。騎乗位へ。「どうや、ええか?」。激しくよがる女。
 雨降る中、コンクリートの橋の上を透明の傘差す2人を超ロングで。「行きとうないよ」「ええやんか。誰も姉ちゃんと思うとらんし、ちょっと寄るだけや」「うち知らん人、あかんねん」「うーん、俺かて知らん人やったろうが。な?」
 コーヤンの義兄(山谷初男)「そうか、一緒におるん。どこかで見た気がするんやけどなあ」コーヤンの姉(絵沢萌子)「そう言ったら私もさっきからそう思うてた。あんた、この前まで……の奥の方へ住んでいなかった?」。女、うつむいて「そっちの方は知らん」コーヤンの姉「確か来栖川いう土地からまだ奥へ入ったところやけど、私らが呉服の生地一杯積みこんで行った時に、集会所みたいな所へ呉服見に来てくれなかったか?」「行かへん。なあ、うち、おしっこしとうなったわ」コーヤン「そっち」。女去ると、コーヤンの姉、髪上げるジェスチャーして「これか?」コーヤン「ん? あー」。コーヤンの姉、、コーヤンを押し倒し、「恥ずかしよ、うふふ」。
 雨の中、窓の外を見てたたずむ女は、口を押さえて泣き出す。
 コーヤンの姉「ホンマか?」コーヤン「人違いやろ」。皆、笑うが、女はうつむいて「はい」。「私らが車に呉服積んであちこち走って回ってたら、いろんなことに出会うんや。なあ、お父ちゃん」「お母ちゃん、コーゾーらもそんなやろか?」。女、一瞬笑う。(また明日へ続きます……)

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/