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神代辰巳監督『恋人たちは濡れた』その4

2015-09-30 05:37:00 | ノンジャンル
 先日三重県伊勢市で女子高生が殺された現場を昨日の報道ステーションで見ましたが、そこが『恋人たちは濡れた』のラストで映画館の女将が自殺しようとする場所と同じであることを発見しました。地元では“ニャロメの塔”と呼ばれている場所だそうです。

 さて、また昨日の続きです。
「見てみろよ。お前なんかより彼女の方が遥かに上手だよ。ボヤボヤすんなよ。誘ってんじゃねえか。お前を」。青年、立ち、赤い女の方へ。見守る緑の女。赤い女を追う青年。「あんたのこと知ってんのよ、あたし。中川カツさんでしょ?」「またか。あんたで5人目だよ。やんなるぜ、まったく。いいか、俺一週間ぐらい前、この町に来たばっかりなんだよ。何で同じことばっかり言われるんだよ。そいつと俺とよっぽど似てるようだけどな。全然関係ないんだよ。親類でもいとこでもねえよ。全然他人だよ」「ねえ、どうしてそんなに隠すの?」「分かんねえなあ。隠してなんかいないったら」「ねえ、あたしを信用してくんないかな」「信用するもしないもないじゃないか。全然違うんだから」「言っとっけど、そんないい加減なことで私、付き合いたくないのよ。いいわよ。だますもんなら、私、帰るわ」「よせよ。何つったらいいんだよ。じゃどうして俺がその男なんだよ。証拠を言ってみろよ。どうして俺がその男かさあ」「卑怯な男だわ、あんたって」「うるせえなあ。もう当人が違うって言ってんだから、一番間違いないだろ」「いいわよ、帰るわ、私、あたしいい加減なことで付き合いたくない」。青年、女を無理やり連れていく。「何すんのよう」「寝ろー」「止めてよ。どスケベ」。女、抵抗し、青年は女をビンタし、スカートを破り、パンティを脱がす。またビンタし、女の胸を出し、自分はズボンを脱ぎ、女を犯そうとするが、女は抵抗を止めず、青年はあきらめる。女、パンティをはく。青年もズボンをはく。
 青年と赤い女、男の許へ。男「おい、何やった?下手くそだなあ、お前。(赤い女を追いかけ)おい、おーい」緑の女「ねえ、何したのよ? 一体」。向こうで男と赤い女、しゃがむ。「やろうとしたんだよ」「いきなり?」「まあな」「バカね」「まあね」「ねえ、あんた、どういう人?」「ここへ来るまで東金にいたよ」「何してたの?」「パチンコ屋だよ」「どれぐらい?」「半年ぐらいかな」「ふーん、その前はどこにいたの?」「船橋だよ」「何してたの?」「パチンコ屋だよ」「やっぱし。ねえ、あんた謝ってきたら?」「親切な男だね。あんんたの彼は」「人のこと言ってないで、謝ってきなさいよ」「そうするか」。青年、立ち上がり、駆け出すが、男と赤い女、離れる。「バカ、お前、強姦しようとしたそうじゃないか?」「そうかね。強姦て言うのかね」「そうかなもクソもねえよ。バカだよ。あわてる乞食はもらいが少ないじゃねえや。すべてパーじゃねえか。さかりのついた犬だって、もう少しましなことするぜ」「うるせえなあ」「強姦はねえよ。ちっ、やりたきゃ、そんだけ努力して、うまくやんなきゃ」。青年、去る。緑の女「ねえ、船橋の前はどこにいたの?」。海辺へ2人歩く。「水戸だよ」「へえ、まるで巡礼みたいじゃない? そこでやっぱしパチンコ屋なの?」「まあな」「どういうの、それ。パチンコ屋ばっかりハシゴしてさあ。転々と何なの、それ。転々と渡り歩いて」「さあね」。青年、戻る。「ねえ」「せっかくあんたたちの近づきになったけど、俺はこの町は性に合わねえよ」。青年、去る。「出て行こうってゆうの?」。地面を蹴る男。「よしなさい。もう少しいなさいよ」「何で?」「さあ、別に。あんたなんかこの町に来たのか知らないけど、……なんてない? やだねー」「いいじゃないか。みっともねえってえの嫌いじゃないよ、俺は」「おーい、もう行くぞ。いつまでもイチャついてないでよう。いつまでも。(たき火を消しながら)世の中、おしまいだねえ」。
 青年、舞台にギター持ち現れる。中央に止まり「私、三波晴夫でございます。(両手を広げ)あなたあっての三波です」。舞台を降り、「お客様は神様です。でもさようなら。(客席に礼しながら)さようなら。(ギター弾き出す。)な~な~つ~♪泣いてつ~る、別れのボンボ~ン♪や~と、山でつ~る、恋のボンボ~ン♪」。
 夜のバス停。都はるみの『好きになった人』、流れる。目の前に酒場の赤い提灯。通り過ぎる車。青年、歩き出すと、店内に音楽。「元気でい~て~ね~♪す~きな~2人~は~♪い~つでも会える~♪たとえ別れて暮らしても~♪(青年、酒場へ。)お嫁なんかにゃ行かないわ~♪」。他の客も歌ってる。(明日へ続きます……)

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/