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アニー・エルノー『シンプルな情熱』

2006-11-25 16:16:36 | ノンジャンル
 山田詠美さん推薦のアニー・エルノ-「シンプルな情熱」を読みました。
 1人の中年女性が東欧の外交官の愛人をひたすら思い焦がれ、会え体を重ねることができた時は喜びに打ち震え、1人の男を愛する女性の気持ちの動きを書いた、非常に単純な小説です。
 発表当時は、自分のセックスまでも描いた暴露小説として、非難する男性批評家と、自分の気持ちを誠に素直に書き表わした希有な小説として、絶賛する女性批評家との間に評価が分かれ、論争になったそうです。私個人としては、とても気持ちよく読めたし、性愛を特別視しない山田詠美さんがこの本を評価するのも、頷ける気がしました。
 非常に短い小説で、私は早川書房のハヤカワepi文庫というので読んだのですが、解説も充実し、女優の斉藤由貴さんの感想文も掲載されていました。まだ、読んでいない方、オススメです。

A.ピエール・ド・マンディアルグ『オートバイ』

2006-11-24 16:03:28 | ノンジャンル
 今日の夕刊にフィリップ・ノワレ氏の死亡記事が載っていました。76歳、死因はがんだそうです。
 70年代~80年代のフランス映画の脇役としてよく出ていて、当時のフランスの三枚目役者としては代表的な人でした。印象的だったのはマルチェロ・マストロヤンニと共演した、死ぬまで喰い、セックスをする5人のうちの1人として出演した「最期の晩餐」でした。御冥福をお祈りいたします。

 さて、山田詠美さんの推薦でA.ピエール・ド・マンディアルグの「オートバイ」を読みました。
 物語は、オートバイに乗った女性が愛人に愛に行く間に、彼女が見たもの、考えたことが描写されるというただそれだけのものなのですが、これが結構面白いのです。
 作品の発表当時も、かなり話題になって、この作品と、映画の「大脱走」のスティーヴ・マックイーンが火付け役になって、オートバイがフランスで流行したそうです。
 映画化もされていて、アラン・ドロン、マリアンヌ・フェイスフル主演の日本題名「あの胸にもう一度」という映画になったのですが、私は高校生の頃にこの映画をテレビで見ていて、もうすぐ愛人に会えると幸せ一杯の表情をした革ジャン姿のヒロインがあっという間に交通事故で死んでしまうという衝撃的なラストシーンを覚えています。
 とても読みやすく、面白い小説です。まだ読んでいない方には、ぜひオススメです。

男女格差ランキング

2006-11-23 16:02:19 | ノンジャンル
 昨日の朝日新聞の朝刊に、面白い記事が載っていました。
 世界経済フォーラム(WEF)が、世界115カ国・地域について、各国政府や国際機関の統計、独自の聞き取り調査をもとに経済(所得や職業的地位)、教育(就学率や進学率)、健康(寿命など)、政治(内閣や国会の男女比率など)の4分野のデータを数値化して比べ、国別の経済機会や社会進出の男女差を指数化し、ランキングしたものを発表した、というものです。
 では、そのランキングの結果は‥‥。
 男女格差の少ない国順に、1位スウェーデン(確か今、王様が女性ですよね)、2位ノルウェー、3位フィンランド、4位アイスランド(1~4位はなぜか北欧諸国)、5位ドイツ(何てったってし現在の首相が女性)、6位フィリピン(ちょっと不思議な気もするけど、ここも今の大統領は女性)、7位ニュージーランド、8位デンマーク、9位英国(この国も過去に女性が首相でしたね)、10位アイルランド、となっています。
 気になる日本は79位で下から数えた方が早い順位。まあ社会に出れば日本の男女格差のひどさは誰でも実感できると思います。
 意外だったのが、22位のアメリカ、70位のフランスで、もっと上位にランクされてもいいと思いますが、ニュースで伝わって来るイメージと現実はギャップがあるということでしょう。
 その他にも、49位ロシア、63位中国、92位韓国など、思ったより低い国がありました。
 日本も北欧諸国の社会システムを見習って、早くランキングの上位国になれるよう、努力してほしいものです。

ロバート・アルトマンの死

2006-11-22 16:32:50 | ノンジャンル
 今日の夕刊で、ロバート・アルトマン監督の死が報じられていました。先日、こちらでも彼の「三人の女」という映画を紹介したばかりだったので、驚きました。
 記事を引用すると「20日、ロサンゼルスで死去、81歳。FOXニュースによると、死因はがんによる合併症だった。
 人間群像を描く卓越した手腕と挑戦的な作品で知られた。ミズーリ州カンザスシティー生まれ。第2次大戦の爆撃機のパイロットなどをへて映画産業に入り、朝鮮戦争の野戦病院を舞台にしつつベトナム戦争への批判を込めたとされる「M★A★S★H」でカンヌ映画祭の最高作品賞パルムドールを受賞。75年の「ナッシュビル」で全米批評家協会賞の作品、監督賞を受賞するなど、実力派として認められた。
 評価の低さに悩まされた時期をへて90年代以降、「ザ・プレイヤー」「ショートカッツ」「ゴスフォード・パーク」などの作品で再び高い評価を得た。アカデミー監督賞には5度ノミネートされたが受賞を逃し続け、06年には「映画のつくり手と観客双方を刺激し続けた業績」を理由に名誉賞を授与された。」とあります。
 私がアルトマンを知ったのは、大学時代、蓮實重彦氏の映画ゼミに出ていた頃で、1980年前後だと思います。当時話題になっていたのは「ウェディング」で、映画の創始者G・W・グリフィス監督作品の常連だったリリアン・ギッシュが出演していることが、アルトマンが映画史をきちんと知った上で映画を撮っている証左であることなどが議論されていたように思います。「ボウイ&キーチ」もアルトマン映画の常連シェリー・デュバルが主演していますが、フリッツ・ラングの「暗黒街の弾痕」のリメイクですし、「ロング・グッドバイ」もハワード・ホークスの「三つ数えろ」を始めとするフィリップ・マーローものを下敷きにしての映画だったと思います。
 また特筆すべきは、彼の映画の撮影の美しさで、「ギャンブラー」の冬の光の美しさは忘れることができません。記事では90年代以降復活したように書いていますが、私には70年代の彼の作品の素晴らしさに比べると、とても復活とは思えませんでしたが、見方の分かれるところでしょう。
 70年代のアルトマン作品をまだ見たことがない方、ぜひ見る事をオススメします。

オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督『ヒトラー~最期の12日間~』

2006-11-21 16:26:38 | ノンジャンル
 WOWOWで、オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督の'04年作品「ヒトラー~最期の12日間」を見ました。
 内容は、ヒトラーの最期の12日間というよりも、第二次世界大戦のベルリン陥落の最期の12日間といったもので、ヒトラーに限らず、それ以外の人々の様子もふんだんに描かれていました。おそらくベルリン陥落をドイツ側から描いた映画は、この映画が初めてなのではないでしょうか?
 ブルーノ・ガンツが演じたヒトラーは、悪い知らせを聞くとすぐに癇癪を起こしますが、それ以外は物静かな人物。ヒトラーの愛人のエヴァ・ブラウンは陽気で、意志の強い、情愛深い人物。ゲッペルスは、ヒッチコック監督の「サイコ」のラストのアンソニー・パーキンスのような、異様な風貌を持つ不気味な人物。ゲッペルス夫人は、なんでこんな夫と結婚したんだろうと思うような、普通の人物なのですが、最期にはヒトラーの自殺に合わせて、5人の子供をすべて毒殺してしまうナチに心酔する人物。
 史実にどの程度忠実かは分かりませんが、ベルリンで地上戦が行われている最中に、ヒトラーらが潜む地下要塞では、酒を飲みあかして騒ぐ将校たちがいて、その対比が際立っていました。また、ラスト近くでは、ヒトラーとエヴァ・ブラウンが自殺し、その死体をガソリンで焼くシーンや、野戦病院で負傷兵の手や足をのこぎりで切り落とし、その手や足がバケツ一杯になっているシーンなど、戦争ならでは残酷なシーンが続きました。
 結局ロシア兵によりベルリンは陥落するのですが、映画はロシア兵の集団が地下要塞に迫る場面で終っていました。その後のロシア兵による占領の様子も見たかった気がします。
 2時間36分と長い映画でしたが、見てて飽きることはありませんでした。まだ、見てない方にはオススメです。