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神代辰巳監督『赫い髪の女』その8

2015-09-25 03:13:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
 女「えーなー、……のガスコンロは。怖いことないし、何べんもつけてみとうなるわ」コーヤン「何や近頃部屋が明るくなった気がする」「うふふ、……」「診てもらったら。新婚家庭やから。アハハハ」「知らん。そんなもん、もっと楽しいこと、ぎょうさんあるし」「これかい、あ?」「ちょっと待ってえな。すぐ抜けるよって」「犬になれや。……」「包丁持ってんのに、危ないやないの。あかんて。あかん」。後背位。顔に服かぶせる。「ホラホラホラ」。電灯も消すと、タカオ来る。「えーか? えーか? どや?」。コーヤンを蹴るタカオ。「さあ、もっとようなるけえ」。タカオと替わる。「誰やの、あんた? 嫌や、嫌、嫌や、ああ、(ひっくり返ったコタツの赤い光に包まれる)嫌や、(コーヤン、女の両手を押える。女、泣き、抵抗やめる。コーヤン、出ていく。「始めは嫌や言うんや」。犯される女。「そんなことされるんやったら、うちに戻った方がましや。亭主にやられた方がよっぽどましや。ずっとうちのこと探してくれてるんや。あんたより優しいし、何から何までしてくれる。今度帰ったら殺されてしまうかもしれんし。焼きもち焼いて」。よがりだす。「優しくしてね。優しくしてね」。コーヤン、廊下の三輪車をこぎ、「ヤサシクシテネ」と言う。
 憂歌団の歌。コーヤン、夜の路上で空瓶投げつけて割り、自慰する。老人「兄ちゃん、酒いっか? 二百円あるか? ……のか? 兄ちゃん、ええことしたいのか? ハールコちゃん、ハールコちゃん(と踊る)」。コーヤン、老人を殴り倒し、背負って歩く。
 酒場。チャイナドレスの女(山口美也子)「あんた、うちは二百円ちゃうで」老人「……ちゃん」コーヤン「閉めとけ、そなもん」女「さっ、何してんの。早う2階行こ。な?」「あー、酒飲みに来たんじゃ」「ほんに気取って。このドスケベが。(股間触り)立っとるやないか」「お前とやりとうて、立ってるんじゃないわい。わいの女が今男とやっとるんや。それが悔しかって、立ったろに」「アホー、立っとるチンポコに分別あるか。……見境なしや。手でさすっても行きよるわ。ほら」「やめ、何するんじゃ」「そや、(両手につばつけて)今試したる(女、またがる)」「止めとけ言うたるやろが」女、動いて「自分の女って、酒くろうて、ええ気なもんやなあ」老人「やめて、やめてーな」「やめって、お父ちゃんの酒代やろ。われじゃ行かんかい? よっしゃ(手につば)はしたる。(肩に足乗せて動く)行ったやないか? 男なんか皆同じ。見境なしや、」老人、ハーハーと崩れる。「焼きもちかいな。しょうもない。(老人を蹴る)いつまでくっついてんの、ドスケベが。(コーヤンを自分から引き離す。)お父ちゃん、泣いてるやんか」。コーヤン、吐く。
 海辺を疾走するトラック。
 ひっくり返ったコタツで暖を取るコーヤン。化粧品の匂いを嗅ぎ、壁に背をつけると、ベルトをゆるめる。鼻歌「牛でもないのにミルク出す。オチンチンの七不思議♪ ゴムでないのに伸び縮み。オチンチンの七不思議♪」自慰を始める。「かわいがるのになぜ怒る。オチンチンの七不思議♪ 欲もないのに金がある。オチンチンの七不思議♪」。女、入って来る。「変態! 風呂に行って来たんや。あんたも行って来たらええで。さっぱりするよって。あんたの大きかったね」「忘れられるか? 忘れられるか?」「あんた、人の気持ちが分からへんのか!(泣き出す)あの子な、駆け落ちするんやて。若い子ってええなあ。ええなあ、若いって。若いってええなあ。ええなあ、若いって。(雨の中、バス停で相合傘のタカオとカズコのショット、カットイン。)ええなあ」。
 憂歌団の歌。雨降る中、無人のバス停で、タカオ、カズコを抱く。
 波の怒涛。
 女「あー」。泣く。コーヤンのパンツに頭突っ込み、「やっぱり赤うなっとるわ。一日中しよ。(フェラ)ほら、固うなって来たやないの。うち、あんたのこと忘れられへんのよ」。コーヤン、女を抱きしめる。騎乗位。女、泣き続ける。
 トラックから部屋へのパンアップ。
 「……傘差して。オチンチンの七不思議♪」。女、眠っている。「うあ~ん」の声。女、起きて、「シャブ打たれてると思ったんや。(笑う。足を上げて、指を反り返し)足の指が反り返るくらいに、ええ気持やったんやで」。コーヤン、女を抱く。「雨が降っとるから今日もこんなにしておられるんやね。いつも雨ばっかり降らへんけど」。憂歌団の歌。抱き合う2人。エンディング・タイトル。

 ほとんどの室内シーンが見事なワンシーン、ワンカットで撮られ、宮下順子に魅せられて、セリフをすべて書き写してしまいました。神代監督の代表作の1本であることは、間違いないと思います。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/

神代辰巳監督『赫い髪の女』その7

2015-09-24 04:16:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
「わし、お母ちゃんの言う通りや。わし、車の運転ようできんさかい。お母ちゃんのすぐ横におって、ちょっとこう、お母ちゃんに『揺られてムズムズしてきたわ』言うても、お母ちゃんが『何を、このドスケベ』って言う。自分がその気になったら、こっちの都合など、お構いなしや」コーヤン「ワハハ」「モーテルのすぐそばまで来て、『お父ちゃん、このまま入るで、ええな』。(車上の夫婦の後ろからのショット、カットイン)返事も訊かんと、もう突っ込んど」。「入るで」。ハンドル切る妻。
 「わし、前の日ちょっと遊んどって(ここから夫の鏡を全裸で見るショット)キスマークつけられたと思ったさかい、先に入って調べてたんや」。妻、入ってきて「大きいお風呂やな」「あー」。夫、湯船に入る。「このマットか、説明書にあったんは」「何の説明や?」「何あわてとるんや、われ、昨日遊んで来くさって、今日は思い切り締め上げたるさかい、覚悟しとれや」。
 また茶の間。「キスマークはなかったんやけど、覚悟して今か今かと待っとったら、いつまで経っても出てけえへん。(女、無表情で前見てる)覗いて見たら」。
 風呂のシーン。「おー、情けないやら、あほらしいやら」。妻、マットの上で泡にまみれ「何ぼけ、突っ立っとんのや。早ううちに泡踊りせんかい。誰の銭でトルコ通っとったんや。早うせんかい」「されるのは慣れてるけど、せえ言われてもなあ」。夫、泡だらけの妻の上で体を滑らせる。やがて泡だらけでくんずほぐれつになる2人。
 コーヤン「ハハハハ」「その寄り道のおかげで……あくる日なって……、なあ、見に来てくれてへんかった? 呉服。あんたによう似てたけどなあ」。コーヤン「姉ちゃん、ホ
ンマに髪赤かったんか?」「それがあやふやにしか覚えとらんのや」。女、泣き出す。「なあ、心配せんかて身許調査なんてせえへんさかい。コーゾーだって、ろくなことやっとらんのやし」。
 憂歌団の歌。雨の中、傘差し歩くコーヤン。女は泣いて悔しがる。「お前がどこで何をしてても、わいはかまへんのやから」「教えたる。(コーヤンの胸倉つかみ)何でも。うちがどこで何してたか、教えたる。焼きもち、焼かったらよ」。女、泣いて歩き出す。コーヤン、ビンタ。「何じゃい。(女抱き)うっとうしいわ。それでのうても、雨降って息詰まりそうなのに。な?(背後から局部を触り)女はな、ここがよかったらええんじゃ」「うちのあそこがそんなにええんか?」「おー、ええよ」「いこまれたんや。皆教えて(口、押えられる)」「もう言うな」。
 憂歌団の歌。シックスナインしている2人。コーヤン「あほー、あほー」。女の局部に指突っ込み「あほー、あほー」。女の足に頭はさまれ「あふー、あふー、あふー」「嫌や。汗かいとるやろ?」「えー、臭せー」。女の両足つかみ、「こっち来んかい」。液体を女の局部にふりかける。「嫌や」「やろーぜ」。コーヤン、女を押し倒す。「嫌や。ちゃんとしてほしい。足かついで、ちゃんとしてほしい。なあ、どないしたん?」。フェラしようとした女の頭を引き上げ「のど、乾いたろ。水飲ましたる」。お姫様だっこし、水道の水を女の顔に当てる。「ほら飲め、ほら、飲めや」。女、むせる。自分の股間に女の頭持っていき、「……の味や」「あ? クラッカーかいな」「そうか、クラッカーか」「嫌や」。女、コーヤンを押し倒す。「こら、ええか? ええか? こりゃええか?」「ちゃんとしてほしい。足かついでちゃんとしてほしい」「まったくそんなにええか? えー、くそくらえ! えー」。激しく突く。「えー、どや?」「恐ろしい。何かしら、恐ろしい顔しとる」「これがそんなにええんか?」「教えた電車、そんなに忘れへん」。コーヤン、乱暴に犯す。女の両乳つかみ「ガキに吸わせて、亭主に吸わせて、皆に吸わせたんやろ? どや?」と女の首絞めるが、やがて止める。
 海辺を走るトラック。
 ブルドーザー。タカオ「コーヤン、見たで。相合傘。赤い髪の女や。赤や。赤や。あー、もう水臭いなあ。(運転席に登る)なんで隠しとったんや?」「犬と同じや。……いてもうた。メス……やらせたやろ」「おま、あの女、好きそうな顔しとったで。どんなかっこも恥ずかしがらんと、足上げたりして、たまらんなあ。やらせてくれへんか? かまへんか? なあ」「長いことないわい」「そりゃないぜ。コーヤン。そりゃ汚いや。怪しいで。惚れたんと違うか? そりゃないわな。(コーヤンの胸倉つかむ)犬と同じ言うたもんな」「おー。……あかんのか? こんガキ」。タカオを投げ落とす。「何じゃい。惚れた女を回せん言うんかい」「おりゃ、何をぬかしてんじゃ。このガキぁ」。くんずほぐれつの喧嘩になるが、カズコの妊娠の責任をタカオが取ると言うと、コーヤン「分かったわい。分かったわい。今夜来いや」。部屋で待つ女、飛び立つ海鳥たちのショット、カットイン。(また明日へ続きます……)

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神代辰巳監督『赫い髪の女』その6

2015-09-23 06:15:00 | ノンジャンル
 昨日の報道ステーションで、岸田外務大臣とロシアの外相が会談をした後の、共同記者会見の模様を流していましたが、岸田外務大臣が「北方領土について、有意義な話し合いができた」と言うのに対し、ロシアの外相は「北方領土の話など、一切しなかった」と言い、先日の安保法制に対する質問では、岸田外務大臣が「多くの国の賛同を得られた」と述べると、ロシアの外相がすぐに「アメリカのパワー外交に組するもので、かえって南シナ海の緊張を強めるなど、懸念さえる」と言い添えるなど、双方の言い分がまったく異なり、面白いものになっていました。会見後、岸田外務大臣は「言葉の行き違いによるものだ」と一生懸命火消しをしようとしていましたが、結局岸田外務大臣の嘘がバレバレになっているのが分かり、国民に対する政府の不誠実さが、こんなところにも表れているのだなあと、改めて思った次第です

 さて、また昨日の続きです。
女、起き上がりながら「嫌や。あのスーパー、(インスタントラーメンを鍋に入れながら)安いなあ。玉子だって、めちゃめちゃ安いで。あの棒のついたチョコなんか、他より2,3円は安いし」。コーヤン、笑い、枕投げ、「何や、2,3円かいな」と腹ばいになりタバコ吸う。「この辺の人はそれを知らんで、安い買い物しとるんや。(泣き止み)あのスーパー、何であんなに安いんやろ。うふふ。近くに鶏小屋があるからかいな」。コーヤン、足でコチョコチョとし、「ココココ」と言うと、女、また泣きだす。「どうせな、今日はスーパーで玉子買おうか、どないしようか迷って……買っといてなかったんや。(怒って、ラーメンにはしを突き刺す。泣きながらラーメンほぐす。)玉子、一つでも買うとけばよかったなあ。(元気取り戻し)そしたら、インスタントっていう感じにならへんもんなあ」。「あー」とコーヤン起き出す。「何やしら、この部屋に入って来たら、女の匂いがムッとした」「どない匂い?」「どないなって女の匂いや。何ちゅうか、クラッカーみたいな匂いや」。女、笑い「そやったらあんたの匂いや」「前はそんな匂い、せえへんかったぞ、この部屋」「独身の男にはな、独特の匂いがこびりついとるんや。(コーヤンにしなだれかかる。)あんたはこの頃になって、だんだん取れてきたみたいやけど、始めのうちは何やしらムッとした匂いがこびりついとった。よう知っとるわ、うち。うちかてこんなんやけど、鈍いことあらへん。初めてこの部屋に来た時、何やしらムッとした匂いがしとったんやで。何の匂いやろうと、ずーっと思っとったわ」。コーヤン、不機嫌に寝ころび「それは分からなかったなあ」「うふふ、分からへんと思う? あんたを抱いたことのある女やないと、分からへんやろうなあ」「雨、止んでもうたなあ」。水滴の音。
 トラックのタイヤから部屋の灯りへパンアップ。洗濯物の影。
 たき火の傍らで、赤いジャージのタカオと黒い服のカズコ。「行くう」と言うカズコを抱き起こして「そったら辛抱できへんか?金儲けたら、すぐに戻ってくるさかい。親父さんに頼んで所帯持つようにするから。なあ、カズコ、待っとけや」。「嫌や、一緒に行く」と泣くカズコ。「乳首がちくちく痒いんや。(乳もんで)もう出るんやから」「出えへんて」「出るんやから。見とって。出るんやから。痒い。痒い。出るんやから」「出えへんて」「出るんやから。出るんやから」。
 赤いコタツの上に、鍋を乗せたコンロ、ティッシュボックス。手前に電球。パン。1階から「うう~ん」の声。眠ってるコーヤンと松葉崩しをする女。コーヤン、起きて「何や」。女、動きながら「あ~、下の女が豚のような声出して鳴いとる」「お前のよがりも下じゃあんなように聞こえるじゃろ」「うちがあんな声出すかいな。やらしいなあ。やらしいなあ」。女、浴衣姿。女「何でや」コーヤン「そんなあ、生きてる証拠やがな」。コーヤン、起き出し女を抱く。「なあ、なあ、うちも(両足をコーヤンの肩に乗っけて)豚のような声出させてほしい。なあ」。挿入。騎乗位へ。「どうや、ええか?」。激しくよがる女。
 雨降る中、コンクリートの橋の上を透明の傘差す2人を超ロングで。「行きとうないよ」「ええやんか。誰も姉ちゃんと思うとらんし、ちょっと寄るだけや」「うち知らん人、あかんねん」「うーん、俺かて知らん人やったろうが。な?」
 コーヤンの義兄(山谷初男)「そうか、一緒におるん。どこかで見た気がするんやけどなあ」コーヤンの姉(絵沢萌子)「そう言ったら私もさっきからそう思うてた。あんた、この前まで……の奥の方へ住んでいなかった?」。女、うつむいて「そっちの方は知らん」コーヤンの姉「確か来栖川いう土地からまだ奥へ入ったところやけど、私らが呉服の生地一杯積みこんで行った時に、集会所みたいな所へ呉服見に来てくれなかったか?」「行かへん。なあ、うち、おしっこしとうなったわ」コーヤン「そっち」。女去ると、コーヤンの姉、髪上げるジェスチャーして「これか?」コーヤン「ん? あー」。コーヤンの姉、、コーヤンを押し倒し、「恥ずかしよ、うふふ」。
 雨の中、窓の外を見てたたずむ女は、口を押さえて泣き出す。
 コーヤンの姉「ホンマか?」コーヤン「人違いやろ」。皆、笑うが、女はうつむいて「はい」。「私らが車に呉服積んであちこち走って回ってたら、いろんなことに出会うんや。なあ、お父ちゃん」「お母ちゃん、コーゾーらもそんなやろか?」。女、一瞬笑う。(また明日へ続きます……)

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神代辰巳監督『赫い髪の女』その5

2015-09-22 00:43:00 | ノンジャンル
 安保法制は参院の特別委員会の自民の強行採決に端を発し、野党勢力の抵抗もままならず、結局自民党と公明党が数の論理で本会議で成立させてしまいました。しかし市民レベルでの抵抗は今後も続く模様で、来年の参院選まで、この動きは止められそうにありません。特に若者たちが声を挙げ始めたのが何とも頼もしく、彼らを中心に政局は動いていく気がしています。今から来年の参院選が楽しみになってきました。

 さて、また昨日の続きです。 
 女、手すり階段を降り、「見たらあかんで」。激しい雨。デッキ上でしゃがみ、ケツまくる。「耳ふさいどって」。ジョロジョロと音。
 夜、裸で抱き合っているカズコとタカオ。カズコ「うち、お腹大きいんやで。気いつかなんだ?」タカオ「知らんかった。あの誰の子や?」「(タカオの髪つかみ)あんたのや。最初があんたやからあんたの子や。決まっとるがな」「無茶苦茶や!」「うち、産むで。産む」タカオの頭抱きしめて、泣きながら頭なでる。「こんなとこ、出えへん?こんな町おっても、ろくなこと言われへんし、あんたかて、辛抱できへんやろ?」。泣き続けるカズコ。
 憂歌団の歌。現場。タカオ「なあ、見せびらかしに来たで」。ゆるやかなズームアップ。コーヤン「うおー、こりゃいけるわ。あのじゃじゃ馬、結構いい嫁さんになるんとちゃうか?」。コーヤン、上半身裸で土掘ってる。「やめたろ思っとる」「何でや? ……思うけどなあ。……めでたし、めでたし」。コーヤンに体当たりし、「何がめでたいや。大阪へでも行ったろ思ってんのや。こんな狭い町で土方みたいのと一緒に働いてもしゃあないがな」「大阪行って何すんねん?」「修理工でもやろう思うてんのや。なあ、コーヤン。よおー、一緒に行かへんか?」。コーヤン、タカオの首に腕をまきつけ「よお、(振り回し)……人の住むとことちゃうぞ。んー、お日様浴びんと、油まみれになって、大阪よりマグロ船の方がええんとちゃうか?」「あかん、あかん、船はあかんのや。女、乗られへん」「なや、本気で惚れてんのか。何が……やがって。ほりゃ、(土投げる)ほりゃ」。
 サーフィンする若者たち。ロング。
 憂歌団の歌。机の上に化粧品ひとそろい。窓には赤いカーテンが下がってる。洗濯物を干す女は真っ赤なセーターを着ている。先日買ったパンティを落としてしまい、下で干し物をしていた女の頭に当たる。「すんません」「ぶち殺したろうか?」タバコを吐き出す。
 廊下でドアを叩き、「出て来んかい! 出て来い! 出て来い! 出て来んか! お前、ほら、出て来い言うたら出て来い!」とパンティ破く。女はついにドアを蹴破り、部屋に入って来る。明らかにシャブ中の顔。「何のマネだい! 何のマネだい!」と赤い髪の女を殴り始める。「堪忍してえな」。殴る蹴る。髪つかみ、引き回し、「何考えてんのや、このガキぁ。死ねえ! 死ねえ!」と首を絞め始める。やっと夫がやって来て、はがいじめにし、止める。「ずっと一緒や」と言って妻を連れ帰る夫。怯える赤い髪の女は、うずくまり、大泣きする。
 大波の怒涛。風の音。廊下を歩く地下足袋。破れたパンティの前で立ち止まる。女はふとんをかぶって怯えている。地下足袋、また歩き出し、部屋の灯りをつける。コーヤンを見上げる女。「何や、あんたかいな。びっくりしたがな。うちを探し回っている人かと思うたわ」「ここはわいの部屋や。わいの他に誰が来るんや」。女、泣く。「誰が来たと思ったんじゃ。(語気強く)誰に来てもろうてほしかったんじゃ? あの? 亭主か?」。女、本格的に泣きだす。コーヤン、パンティを投げつけ、「何や、このあま、人が外で仕事しとるゆうのに、(こたつ、蹴り倒す)飯の支度もせんと(女、蹴る)、男引き入れてさかっとったんやろ? もう用はない。……へ帰れ!」。ふとんをはぐと、女はパンツ姿。「何や、人のパンツはきやがって。(女の両足を引っ張り、激昂する)」「うち、あんたの女やさかい、あんたにしてほしい思うて、あんたのパンツはいたんや」。コーヤン、静まる。「……。(女抱く)変態!(女にキスする)」
 軒下。雨。仰向けに寝るコーヤンに優しくキスする女。「あの角行ったところのスーパーマーケットね、ラーメン安かったさかい、ぎょうさん買うてきたんや。食べよか?」「ああ」「あー、あやー、あー」。男の上に体を滑らせる。赤いスリップ。コーヤンの局部触り、「あー、いや、あー、あー」。女起きる。スリップ片側が肩から落ち、乳見えている。沸騰しているヤカン。女、鍋の乗ったコンロ持ってきて、「なあ、今度給料入ったら、このガスコンロ取り替えよ」。マッチで火をつけるのに難儀する女。「貸してみ」。火つくと「昔から……言われてたんやけど、こんな難儀するガスコンロで、ヤケドしたりするの嫌や。(急に笑い出し)火ついてのうても忘れてしまうかもしれんし」。コーヤン、女を抱き直し「かまへんやないか。心中や」。(また明日へ続きます……。)

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神代辰巳監督『赫い髪の女』その4

2015-09-21 04:57:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
 トンネル。カズコの後ろを歩くタカオ。船へズームアップ。こたつでボーとする女。ドア開く音。パン。コーヤン。「お帰り。早かったんやね」「あー。(革ジャン脱ぐと腹巻姿)土方休みやったら、わいらも休みや。あー、(開いている窓見て)雨入ってきいへんか?(顔と頭、タオルで拭く)」「夕方まで帰ってきてくれへんのかとぼんやり思ってた。お腹空かへん?」「(革ジャンの雨、拭きながら)あー、空いたわい」「さっき窓の外ぼんやり見てたら、あのデパートのアドバルーン上がった辺り、おいしいラーメンのお店あると思う。……。さっき作って食べたんや」「(タバコに火。手でラーメン食べ)熱!(口ぬぐう)寒いやろ?」。立ち上がり窓閉める。女、見上げて、男の足にすがる。「なあー、一緒に寝よう。(コーヤンの手持ち)なあ、濡れてるやろ? 朝起きたら、あんたおらへん。うち、辛抱できんと、自分でしたんよ。乳首がちくちく痛うなるし、(コーヤンのベルト外す。ズボン下げ)あんたの靴下の匂いやら、あんたの肌着の匂いやら、うち辛抱できんと、(コーヤンのパンツにすがる)自分でしたんよ。(コーヤン、押し倒される)夕方まで帰って来うんなら、こないしてくれる人とこ、うち行ってしまおう思ってたんや」「(女の顔を引き寄せ)そっから逃げて来たんとちゃうか? あー?」。激しくキス。女におぶさり、女よがる。コーヤン、身を引く。「お前の亭主あ、どんな風にしてかわいがるんじゃ? 同じようにしたる」「ええんか?」。女起きだし、赤いセーター脱ぐ。「家ん中まで雨入って来よる」。女、上半身裸。パンティも脱ぐ。男の両肩に両足をかける。「こうや、早うして」。挿入。「あー」。よがる女。男の手を自分の股間へ導き「こうや、こうや」。コーヤン、激しく動き出す。よがる女。上半身後ろに倒れる。「教えてもろうたんやな。何もかも。教えてもろうたんやな」。コーヤン、女の上半身に密着し、女、頭抱える。激しくよがる女。コーヤン果て、股間をティッシュで拭こうとすると、「いやや、(ティッシュ放り出し)うちが」。俯瞰に。コーヤンの背中。女、フェラしてるよう。「何人の男とやったんや。え?」「いや、あ~」「ええ?」。仰向けになったコーヤンの股間に、女、頭を乗せる。コーヤンの荒い息。女、またよがり始める。
 古びた家。パンダウン。風の音。手前にススキ。軒下にタカオと赤いマフラーしたカズコ、しゃがんでる。「責任取ってほしいん」「責任?」「そうや。……言うたか?」「俺にどないしろ言うんや?」「(ビンタし)……や」「……て、やったの2人やど」「(泣き出し)うちは処女やったし、最初はあんたや。そやからあんたに責任取ってほしいんや。(泣き続ける)」「(座り直し、怒りながら)どないしたらええんや?」「(大声で)あれっきりなんて殺生や。(タカオの頭抱えキス)」。
 路上。相合傘。ロング。コーヤン「痛うなか?」女「ちょっとしみる」「えへへ」「なあ、その喫茶店で待ってて。いつまでもあかん訳にはいかんし」「金あるかい?」「ちょっとだけなら」「これ持ってけ」「すぐ戻ってくるさかい。待っててーな」。傘持ってカズコ去る。コーヤンも歩きだす。踏切、電車の音。横移動。革ジャン直し、「あー」。老人(三谷昇)近づき「振られたんやろ。兄ちゃん。一杯やりたいな。兄ちゃん。二百円ないか?」「うふっ、そら」。赤い傘差したコート姿の女現れ「いらんこと、せんといて」「うーん」「乞食みたいなマネしくさって。お父ちゃんの恥はうちの恥なんやで。もう。何べん言ったら分かんのん」「へへへ」。
 喫茶店。待ってたコーヤンの元に女。「カーテンレール買うの、忘れてもうたんや。そこまで来て気がついたんやけど、釘打って引っ掛けたら使えるし」「まあ、ええ。カーテン買うたんか?」「それにお鍋とヤカンも買うたんよ」「……どないしたんや?」「見せたろか? これがあんたの。あ~ん、うふっ。こんなの見たら目くらくらするで。ほら」「小さいなあ。毛はみ出へんか?」。2人、笑う。他の客の目を気にし、コーヤンはサングラスをかけ、女も表情を消す。小声で「男って皆やらしいな。考えることゆうたら、あのことばっかしなんやから」「あのことって何や?」「う~ん、知らん」「知らんのやったら、わいの鼻の先にこすりつけたろか?」。2人、笑う。(また明日へ続きます……)

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