十年ぐらい前、我が家にはまだ分厚いフラットテレビの30インチがありました。その頃液晶テレビはまだ高額でしたが買い替えを考える時期に来ておりました。西宮市の電気量販店には、展示品の内臓ハードディスクのついた37インチに破格の値段がつけられて売られていました。亡くなった主人は、当時、あまりの安さに負けて、展示品を買ってしまいました。展示品なので、五年保証などはついていないので、気にはなりましたが、メーカー品なのでトラブルなどないはずと見切り発車しました。
そしたら、ひと月もしないうちに、スイッチ入れてすぐに画面が出ず、3分程度表示に時間がかかりました。
主人は、
スイッチを入れて機械がある程度温まりさえすれば、必ず表示されるので、画面が出るまでの時間を我慢すれば済むからこのままでいよう、修理は必要ない、変に修理すれば、お金を取られるから、もったいない
と主張しました。
そう、十年前にうちにやってきたテレビは、初めから寒がりの持病持ちだったのです。
いつも表示に時間がかかりましたが、だましだまし励まして、そのテレビと付き合いいつのまにか十年が経過しました。持病は悪化し、徐々に表示されるまでの時間が、5分、10分、15分と増えていきました。
ところが昨年夏ぐらいから表示されるまでに30分ぐらいかかるようになり、病状が深刻化しました。そうこうしているうちに、外付けハードディスクを読み込まなくなり、内蔵ハードディスクも、一度テレビをオフにすると、予約録画がキャンセルになってしまうようになりました。スイッチを入れるたび、再度機器の検出が必要でした。
それで、予約録画を設定しているときにはテレビをつけたままにすることにしました。外出時も、スイッチを切ることなく、一日中テレビをつけている状態が増えました。テレビは、休むこともできず、一日中働きずめになりました。
この時点で、普通は買い替えを検討するのが一般的ですが、実は主人がブルーレイ、ビデオデッキ、ステレオ、チューナー、ルーターなどの周辺機器との配線を複雑にしてい簡単に外したりすると元どおりに復帰させることは困難でした。私たちは一旦買い替えを断念しました。
その後、冬に突入するや否や、テレビは人がいないとますます寂しがって、画面を表示させないストライキを始めました。我々は、どうすることもできず、見守り続けました。おそらく体力の限界を訴えていたのでしょう。
そして2月、テレビは寒さに耐えられず、我々が家にいても部屋の温度が27ど以上になっていないといつまでも画面が乱れっぱなしで表示しない状況に陥りました。
テレビを正常に見るために暖房機をMAXにし、2月の終わりから3月にかけては、28度でやっとテレビの画面が表示されるようになり、テレビを見るために。私は真冬でも家の中では半袖を着て、汗だくで過ごしました。暑くなって、暖房を切ると、たちまち画面は表示されなくなります。どこをどう温めてやれば良いのかわからないので、仕方なく、汗だくになりながら、暖房を入れっぱなしにしました。
3月の20日過ぎると、画面が表示されるまで4時間以上かかり、最後は部屋の温度が29°でも一晩経っても画面が表示されなくなりました。私は汗だくで看病しましたが、どうやっても状況は改善しません。
それでその時に、やっと買い替えをする必要を実感しました。
複雑な配線は心配でしたがそこは電気屋さんが、相談に乗ってくださいました。実は配線した周辺機器のほとんどは、アナログ放送の頃のもの、デジタル化された現在では正常に起動するか不明とのこと。それで方針が決まりました。
今度はブルーレイ内蔵のテレビにしました。それなら主人の残した複雑怪奇な配線を100%復帰させなくてもどうにかなります。
三月の終わり、電機店をはしごして、40インチのテレビを決めました。
持病持ちのテレビは、最後までかわいそうでした。お金がかかっても早めに修理に出してあげれば最後はあんなに苦しまずにすんだかもしれません。本当にかわいそうでした。
そして私ももっと早い時期にテレビを買い替えて、引退させであげたら、あの持病持ちのテレビはもっとしあわせだったはずと反省しております。最後まであれだけ頑張ったのですから、次は人間に生まれて来て欲しいです。
今年の2月の私はひたすら部屋の暑さとの戦いでした。汗だくになり、半袖で2月を過ごすのはこれで終わりにしたいです。
新しいテレビはスイッチを入れるとすぐに画面が表示されますし、部屋の温度が高くなくても見ることができるのでホッとしています。
みなさまスイッチ入れっぱなしの展示品は、要注意です。
画像は牛すじ煮込みです。