オバマ新政権の顔ぶれ
過去政権の中枢登用 温暖化対策など新味も
【ワシントン=西村央】米国のオバマ新政権は二十日の就任式直後から、米軍イラク戦闘部隊の撤退、経済刺激策の実施などに着手することをめざしています。新政権の顔ぶれをみると、地球温暖化対策で新たなポストを設けるなど新味を打ち出す一方、安全保障や経済の担当チームには過去の政権で中枢を担ってきた人材を登用しています。
ホワイトハウスの職務全般の調整役となる大統領首席補佐官は、クリントン政権で大統領政策顧問を務めたエマニュエル下院議員です。
国防長官はゲーツ氏が留任。同氏の起用についてオバマ氏は、イラク、アフガンという「二つの戦争が継続中の政権移行」という点をあげ、イラク戦争の「責任ある終了」とアフガンへの戦力増強を確実にするためだとしています。国防長官が民主、共和両政権で継続するのは初めて。
国務長官はヒラリー・クリントン氏。十三日の指名公聴会では、軍事力だけでなく経済、政治、法律、文化などの手段を組み合わせて使うとする“スマートパワー”外交の方針を打ち出しました。
安全保障担当の大統領補佐官には、ジョーンズ元北大西洋条約機構(NATO)欧州連合軍最高司令官をあてました。
経済チームの要となる国家経済会議(NEC)委員長に就任するのは、クリントン政権下で財務長官を務めたサマーズ氏。金融面での「規制緩和」を推進してきたと批判があります。財務長官には財務次官、ニューヨーク連銀総裁などを歴任したガイトナー氏を指名しています。
温暖化問題では、政府各部門の対策を横断的にみるエネルギー・気候変動調整官を新設し、ブラウナー氏が就任。エネルギー長官はノーベル物理学賞受賞者のチュー氏が務めます。
科学問題の大統領補佐官には、核兵器廃絶を訴える科学者の国際機構「パグウォッシュ会議」で役員を務めたホルドレン・ハーバード大教授が就任しました。新大統領の核政策にどう影響を与えるのか注目されます。