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2009-12-03 | 市民のくらしのなかで

      沖縄返還費用の密約証言

     日本政府の卑屈さ浮き彫り

                 外務省は全容明らかに


 「大きな歴史の陳述に貢献したか分からないが、私の記憶が確かであれば、真実を語ったつもりだ」―。91歳の吉野氏は記者団に感慨深く語りました。吉野氏は国会で密約の存在を隠してきたことについて「うそをついてきた」と認め、自らの良心に従って証言しました。

 吉野氏が沖縄返還費用に関する密約にかかわっていたことは、すでに同氏が2006年1月に政策研究大学院大学の「オーラルヒストリー」で明らかにしており、その後も複数のメディアで証言しています。

 今回、裁判所という公の場で証言を行ったことで、密約に彩られた日米安保体制の姿の一端が当事者の口によって公にさらされたことになります。

 吉野氏の証言からは、アメリカの強圧的な姿勢と、それに対する日本側の卑屈な姿勢があらためて浮き彫りになりました。

 もともと、アメリカが不当に占領していた沖縄を返還するにあたり、日本側が3億2000万ドルという巨額な費用を支払うこと自体、世界でも類例の ない事態です。これについて吉野氏は、金額については大蔵省の主導で決められ、外務省に提示された時は「支払う必要はない」と、一度ははねつけたといいま す。

 しかし、「アメリカの財政事情が悪くなり、米議会で、ぼろもうけをしている日本がお金を出さないのなら沖縄を返さなくてもいい、という声が出ていることが伝わってきた」と述べ、結局は容認に転じた経過を明らかにしました。

 さらに、この3億2000万ドルという金額は、一応の費目は示されていたものの、実際は「アメリカのつかみ金」(吉野氏)であり、何に使ったのか 後で検証不可能なものでした。従って、「核兵器撤去費用」として計上されていた7000万ドルから捻出(ねんしゅつ)された補償費400万ドルについて も、「実際はどう使われたのか分からない」といいます。

 加えて、吉野氏の証言は沖縄返還費用にかかわる密約のごく一部にすぎないことに留意する必要があります。

 沖縄返還協定で正式に日本側負担が合意された3億2000万ドルのほかにも、(1)米中央銀行への無利子預金に伴う1億2000万ドルの利益提供 (2)沖縄と本土の米軍施設改修費6500万ドル(3)基地従業員の労務費1000万ドル―を提供する秘密合意があります。これらは、その後の米軍「思い やり予算」の原型にもなっています。

 吉野氏がかかわった密約は、その後の際限のない在日米軍に対する財政負担要求のとびらを開いたものといえます。

 外務省は、吉野氏の証言を受け止め、来年1月に出される日米密約に関する報告書で、その全容を明らかにすることが求められています。(竹下岳)


元外務省アメリカ局長の吉野文六氏の陳述書

(要 旨)

 東京地裁に証拠として提出された、元外務省アメリカ局長の吉野文六氏の陳述書の要旨は次の通りです。

 1971年にアメリカ局長に就任してから、沖縄返還の詰めの交渉を担当したのですが、日本側には本来アメリカが負担すべき費用を日本が出費するこ とは困難となっていた一方、アメリカ側も沖縄基地関係での出費は議会を通過しない状況でしたので、のちに発生したラジオ局「ボイス・オブ・アメリ カ」(VOA)の移転費用(1600万ドル)や土地補償費(400万ドル)について、どちらがどのように負担するかという点が問題になったのです。

 米軍が使用していた土地について補償するためにかかる費用として400万ドルを日本が負担するという(密約)文書(覚書)の左下のBYというイニシャルは私が書いたもので間違いありません。

 この補償費なるものは、沖縄が返還されるまでの間、アメリカが軍用地を地主に返還する際に原状回復費用として支払ってきたものでした。しかし、ア メリカ議会のなかには、沖縄返還について好感を持っていない議員がいたうえ、ベトナム戦争によって財政がひっ迫した状況下では、さらなる補償費の支払いに ついては到底承認されない状況でした。

 日本側も補償費については、従前からアメリカが支払ってきた関係で、返還前に発生したものを負担することは困難でした。特に、佐藤首相が「沖縄は無償で帰ってくる」と発言していましたので、日本がアメリカに代わって支払うということは難しかったのです。

 ところが、予算を出す大蔵省の柏木雄介財務官から、日本が負担することで処理をしてほしいと要請されたのです。

 そもそも、大蔵省の主導で決まっていた沖縄返還に伴う日本側の負担のうち、返還協定に盛り込まれることが決まっていた日本のアメリカに対する支払 額は3億2000万ドルでしたが、そのうち7000万ドルは核撤去費用でした。核撤去のためにそんなに費用がかかるはずがなく、これはアメリカが自由に使 えるものでした。したがって、その7000万ドルの一部を補償費の400万ドルに充てることは予算面では何の問題もないことだったのです。つまり、日本が 渡した3億2000万ドルの一部400万ドルをアメリカが沖縄の市民への補償費に充てればよいのです。

 こうして、日本政府が対内的には3億2000万ドルには補償費は入っていないと説明しつつ、アメリカは議会を秘密会にして開催し、(返還協定には アメリカが補償費を負担するとなっているが)、実際には日本が負担すると説明することになりました。愛知揆一外務大臣も日本側が負担することを承諾しまし た。

 覚書は1971年6月12日、外務省本省の局長室で署名したと思います。

 VOAの移転について合意された文書も、私とスナイダー公使が署名したものです。VOAに関する交渉は大変でした。日本には電波の自主権がありま すから、外国の放送局を沖縄に残すわけにはいかなかったのです。そこで5年後には移転するように交渉したのですが、アメリカ側はなかなか承諾しなかったの です。交渉成立後も、アメリカは移転先について数カ国と協議して、なんとかフィリピンにお金を出して承諾させたと聞いています。

 実は、VOAは単なる放送局ではなく、諜報(ちょうほう)機関なのです。スナイダー公使は当時、対岸の中国の兵隊の靴音まで聞こえるのだと言って いました。結局、移転費用として1600万ドルを限度に日本が負担することで決着したわけです。この文書については、6月11日に局長室で署名しました。



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事実上の占領・侵略のままではないか?

2009-12-03 | 世界の変化はすすむ

    日米軍事同盟の異常

    世界と日本 25回党大会決議案から


 いま世界に残る米国中心の四つの軍事同盟の中でも、日米軍事同盟は、他に類のない異常な特質をもっています。日本共産党25回大会決議案が指摘する、日米軍事同盟の異常性とは―。


 面積2倍

       世界は基地削減へ

 1991年のソ連崩壊後、米軍の海外駐留は世界的には削減・縮小の方向になっています。にもかかわらず、日本の米軍基地は、面積も駐留人員も拡大・維持されています。

 基地面積は80年代以降に、自衛隊との共同使用を含め、2倍以上に拡大(図)。駐留米兵数も、90年時とほぼ変わらず約4万人前後を維持しています。

図

拡大図はこちら

殴り込み

日本だけ空母母港

 在日米軍の主力は「日本防衛」とは関係のない、介入・干渉戦争の遂行を専門にする海外“殴り込み”部隊。日本は米本土以外では唯一、その一大根拠地とされています。(地図)

 沖縄の巨大基地群と岩国基地を拠点とする第3海兵遠征軍(IIIMEF)は、敵地への強襲上陸作戦が主任務。米海兵隊は三つの海兵遠征軍からなりますが、残り二つは米本土が拠点。海外配備は日本だけです。

 米空母や揚陸艦隊の海外母港も日本だけ。横須賀基地の原子力空母ジョージ・ワシントンを中心とする空母打撃群は、艦載機による空爆や巡航ミサイル で攻撃を遂行。佐世保基地の強襲揚陸艦エセックスなどの揚陸艦は、海兵隊の上陸作戦を支援し、海兵隊、巡洋艦などとともに遠征打撃群を構成します。

 三沢基地のF16戦闘機部隊や嘉手納基地のF15戦闘機部隊は、世界の紛争地への迅速展開を目的にした航空宇宙遠征軍に編入されてきました。

 2003年のイラク戦争開戦時に1万人がイラクに派兵されたのをはじめ、最近も同国やアフガニスタンでの戦争に恒常的に投入されています。(グラフ)

グラフ

米兵犯罪

日本人死者1千人

 95年に沖縄県で起きた米兵による少女暴行事件以後も、在日米軍による凶悪犯罪や悪質な事故、住民生活への被害は後を絶ちません。

 米海軍・海兵隊の88年から95年まで軍法会議にかけられた性犯罪1832件のうち在日米兵は216件でスペイン24件、イタリア16件と比べても突出しています。(米地方紙「デイトン・デーリー・ニューズ」調べ)

 日本での米軍の事件・事故は52年4月(旧日米安保条約発効)から今年3月までに、少なくとも20万6805件(施政権返還以前の沖縄の分は含まず)、被害にあい死亡した日本人は1084人(同)にのぼります。

 日米地位協定では、米兵が「公務執行中」に起こした事件・事故の「第1次裁判権」は米軍にあると規定。「公務外」犯罪でも日本側が裁判権を放棄する日米間の「密約」があります。

駐留経費

他国総額超す負担

 国民の血税が注ぎ込まれ、米軍の居座り、基地増強をもたらしていることも異常です。

 なかでも地位協定上も負担義務のない米軍「思いやり予算」は、78年度に始まった際は62億円でしたが、ピーク時には2700億円を超え、現在も2000億円規模を維持しています。累計では、5兆5000億円を超えます。

 米国防総省の「共同防衛に対する同盟国の貢献」報告(04年版=公表分の最新版)によると、日本の米軍駐留経費負担は、米国のほかの同盟国26カ国を合わせた分よりも多くなっています。(グラフ)

グラフ

日米密約

核艦船フリーパス

 米軍の自由勝手な行動が「日米密約」で保証されてきました。

 60年の安保改定に伴う日米両政府の交換公文で、(1)米軍部隊の「配置の重要な変更」(2)核兵器持ち込みなど「装備の重要な変更」(3)日本防衛(条約第5条)を除く戦闘作戦行動のための基地使用―は「事前協議」の対象とされました。

 この制度は表向き、「対等な日米同盟」の道具立てとして宣伝されましたが、実際は(1)核兵器を搭載した米艦船・航空機の日本立ち寄り(エントリー)(2)朝鮮半島への出撃―は事前協議の対象にしない「日米密約」と一体のものでした。

 現実にも、安保改定以来、一度も事前協議はされていません。

地球規模

深める侵略的変質

 日米軍事同盟は、「米軍再編」の名で、安保条約の枠組みさえこえて、地球的規模の日米同盟へ侵略的変質を深めています。

 「米軍再編」とは、ブッシュ前米政権と小泉自公政権の下で始まった計画です。(1)米軍の機動力強化(2)米軍・自衛隊の軍事的な一体化―を通じて、日米同盟を地球のどの地域の戦争や事態にも対処できるように変えるものです。

 現在、大きな焦点になっている米海兵隊普天間基地「移設」問題も、この米軍再編の一環です。ブッシュ米政権の戦略は破たんしたのに、再編計画自体は今なお続いているのです。

経済従属

毎年、文書で注文

 日米安保条約のもとで、日本経済は米国への従属と支配のもとにおかれています。

 最近の代表的手段が、米通商代表部が94年から毎年出してきた「年次改革要望書」です。

 93年の日米首脳会談での合意に基づき、(1)毎年秋に、日本の政治・経済のあり方について米国が文書(要望書)で注文をつける(2)それに沿って日本政府が実行する(3)その成果を米政府が点検し、米議会に報告する―といった仕組みがつくられました。

 この仕組みで、郵政民営化、大型店の出店野放し、労働法制の規制緩和などが強行されてきました。

在日米軍の人数・内訳(09年6月30日現在)

陸軍    2584人
海軍    3708人
海兵隊  14378人
空軍   12758人
第七艦隊 6857人
合計   40285人
※米国防総省資料から

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