米国務長官の名指し非難
中南米諸国が抗議
“内政干渉は断固拒否”
クリントン米国務長官が国務省での対中南米政策についての講演で、民主的変革を進める中南米諸国を非難したことに対し、名指しで批判された国々は“内政干渉は断固拒否する”と強く抗議しています。(島田峰隆)
クリントン氏は11日、「ベネズエラやニカラグアの民主主義に懸念を表明する」「そう遠くない将来に民主的なキューバを見ることができるよう期待する」などと語り、新自由主義から抜け出し対米自立を強める変革を進める国々を批判しました。
さらにベネズエラやボリビアがイランと関係を強めていることについて、「これらの国がイランに巻き込まれるのは悪いことだ。イランはテロ支援国、促進国、輸出国だ」「イランの気を引く人々は、どういう結果を見るか、よく考えるべきだ」とどう喝しました。
オバマ米大統領は今年4月、キューバを除く南北米州の全首脳が参加した会議で、「中南米諸国と平等なパートナーシップを追求する」と約束していました。それだけに、中南米諸国は今回のクリントン氏の演説に激しく反発しています。
中南米カリブ海地域の9カ国で構成する米州ボリバル代替同盟(ALBA)は、13、14の両日、キューバのハバナで開いた首脳会議の最終宣言で、 「クリントン長官の発言を断固拒否する」と強調。「外交政策の実行はすべての国が持つ主権だ」「米国政府は、国連憲章にある主権平等の権利と原則を侵して いる」と指摘しました。
ボリビアのフェルナンデス副外相は11日、「米国がイランと消化不良を起こしているからといって、他の国が一緒に医者に行く必要はない」と直ちに反論。
同国のモラレス大統領も翌12日、「ボリビアは世界のあらゆる国と関係を持つ主権国家だ。わが国は、対話の文化を守り、いかなる場合でも威嚇は受け入れない」と語りました。
ベネズエラのチャベス大統領は13日、「中南米を再び米国の裏庭にしようとする試み」と指摘。このほかニカラグア、ブラジルもクリントン氏を相次いで批判しました。