韓国市民、
「米国偏重外交」への懸念に世代の差はなかった
20~70代の市民23人に深層面接
「韓国は米国との関係に偏って中国を無視しているじゃないですか。だからもう少し柔軟に、米国と半分くらい親しくしたなら中国の顔色も伺いつつ(外交)政策を展開してほしいです」(60代女性Aさん)
70年の韓米同盟は、米中戦略競争時代に新たな役割の変化を求められている。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は「価値観外交」という理念的路線に沿って、韓米関係にさらに密着するという答を出した。だが、平穏な日常を望む市民の答は違っていた。
韓米同盟70年を迎え、ハンギョレが世論調査業者ヒューマンアンドデータに依頼し、20~70代男女23人を対象に行った標的集団深層面接(FGI)で、大半の参加者は米国への依存や偏重ではなく「バランス」を口にした。中国との関係にも気を使わなければならないということだ。今回の深層面接は、20~30代(10人)、40~50代(7人)、60~70代(6人)の3グループに分け、5月25日から今月3日まで行われた。
3グループのうち親米感情を最も強く表わした60~70代の中には、反中感情を表わす市民もいたが、この6人のうち大半である5人は「中国との関係を緩和させるべき」と答えた。
「米国とは血盟の関係。現大統領は米国との関係を積極的に推し進めているではありませんか。それは肯定的にみています」と言いつつも「韓米同盟をある程度進展させたら、次は中国とうまくやらなければ。嫌いであることと、経済的に(関係を)維持していくことは違います。韓国は貿易国なのだから、中国を無視してはいけない」と、70代男性のAさんは語った。
また別の70代男性のBさんは「中国は私たちを小国だと甘く見ています。関係が少しでも悪くなると(中国は)自分たちの過ちを認めない。仲良くするのは難しそうだ」と述べたが、韓国と協力しなければならない国としては米国とともに中国を挙げた。
インタビュー集団の中で最も多い20~30代の10人のうち7人、そして40~50代(7人)は満場一致で、中国との関係回復の必要性を述べた。
「中国主導であれ、米国主導であれ、大きな波の中で、船が両側から吹く風のバランスを取りながら進むように、生存のためのバランスが韓米関係でも望ましい」(50代男性Aさん)
「教授の推薦で先日アンケート調査をしたことがあるんですが、中国内でも反韓感情がだいぶ増えているそうです。韓国が中国人を嫌っているからだという理由もありました。政治的なこと以外にも、一般の人の目からもこういうことが見えるようです。歴史的にも、一国だけに依存して、その国が最後までうまくいったケースは珍しい事例だと思います」(20代男性Aさん)
一方、30代女性のAさんは「米国と円満な関係を結ぶべき。中国は閉鎖的で、(態度が)どう変わるか分からない国という印象」とし「交易も東南アジアなど他の国々と協力して中国依存度を下げるべき」という意見を出した。また別の30代男性のAさんは「20~30代の反中性向は強い。東北工程やTHAAD(高高度防衛ミサイル)問題など…中国との経済的協力は必要だけど、けん制はしなければ」とし「日本も露骨に米国と結託しているとみられるが、私たちもそのような部分は必要」と話した。
米中間でのバランスを韓国の外交戦略にすべきだという意見も出た。「韓国も対中関係をもう少しうまく解決すれば、韓日関係においてもバランスが取れるんじゃないでしょうかね。李明博(イ・ミョンバク)大統領も実利主義を追求したし…。民衆の経済のためにも、中国との関係改善に向けた努力は必要」(40代女性Aさん)、「恋愛関係でも、完全に自分の恋人になれば気を遣う必要がなくなるけれど、ケアしなきゃと思えば変わるでしょう。米国の立場としては、韓国は地政学的にとても必要な国だから、綱渡りをしながらいずれも味方にするようにしなければ」(40代男性Aさん)