2024年1月12日(金)
自民党が「政治刷新本部」初会合
改革案示せず看板倒れ
顔ぶれに批判が殺到
安倍派10人で最多
派閥のパーティー券収入をめぐる裏金事件が自民党中枢を直撃しています。国民の怒りが広がる中、岸田文雄首相(党総裁)は、政権危機打開のために自身が本部長を務める「政治刷新本部」を発足。国民の信頼失墜に歯止めをかけようと「自民党の体質を刷新する」と意気込みますが、11日に開かれた初会合では具体的な改革案は示されず、早くも看板倒れになっています。
「国民の信頼を回復し、日本の民主主義を守るためには自民党自ら変わらなければならない」―。岸田首相は初会合で党改革の決意を表明しましたが、一方で、裏金事件の真相の徹底究明については何も語りませんでした。裏金事件をめぐっては現職の国会議員の逮捕者も出ています。今求められるのは、誰がどれだけ裏金をつくったのか、その裏金を何に使ったのかを徹底的に明らかにすることです。
岸田首相は、肝心の派閥解消や政治資金規正法の改正などについても具体的な対応を示していません。自民党独自の取り組みとしては、パーティー収支の党監査や銀行振り込みを原則にするなど小手先の「改革案」のみ。最大の解決法であるパーティー券収入を含めた企業・団体献金の全面禁止には踏み込まず、何をもって「刷新」するのか不透明なままです。
刷新本部の顔ぶれにもSNSなどで批判が殺到しています。総勢38人のメンバーをみると、自民党最大派閥・安倍派の議員が10人で最多。組織的な裏金事件を引き起こした安倍派の議員が全体の4分の1を占める構成自体が、派閥への配慮と派閥均衡政治に頼る姿勢のあらわれです。自民党内からも「抜本的改革など無理だ」(無派閥中堅)との声が上がっています。
最高顧問には安倍政治を支えた麻生太郎元首相と菅義偉前首相が置かれ、茂木敏充幹事長、渡海紀三朗政調会長、森山裕総務会長ら党幹部、首相側近の木原誠二幹事長代理らが中核となります。
自民党派閥の存在そのものが問われる中で、自身が派閥を率いる麻生、茂木、森山各氏を重要ポストに置くなど“本気で変える気はない”と宣言しているようなものです。
また、政治資金問題で経済産業相を辞任した過去がある小渕優子選対委員長が本部長代理に就任しています。
裏金疑惑が自民党全体に及ぶ中、国民の不信は広がる一方です。形だけ「刷新」を掲げても自民党の体質は変わりません。(中野侃)