2024年12月25日(水)
日本共産党国会議員団総会
田村委員長のあいさつ
日本共産党の田村智子委員長が24日、臨時国会閉会に当たって開かれた国会議員団総会で行ったあいさつは次の通りです。
総選挙後、初めての論戦の場となった臨時国会が、今日で閉会となります。
「与党少数」という新しい国会のもとで、徹底した審議を通じて、国民の意見や要求を反映した政治を進めるのか、それとも、行き詰まった自民党政治の延命に手を貸すのか、すべての政党の真価が試された、最初の国会だったと言えるのではないでしょうか。
日本共産党国会議員団は、国民の切実な要求に応え、政治を前に動かそうと心一つに奮闘したことをまず確信にしたいと思います。
政治改革の核心は企業・団体献金の禁止
今国会の焦点となった政治改革について、わが党は、前提として裏金事件の真相解明が不可欠だと一貫して主張し、また、政治改革の核心は企業・団体献金の全面禁止であるという立場を貫いて、その実現のために奮闘しました。このもとで、自民党の裏金事件への無反省、企業・団体献金を廃止させまいとする必死の抵抗が際立ちました。
証人喚問なくして裏金事件の真相解明なし
国民の怒りの世論によって、自民党の裏金議員が、次々と政治倫理審査会での弁明を行いました。しかし、その内容は、「自分はおかしいと思ったが、派閥の事務局から指示された」というだけで、誰一人、いつから、誰の指示で、何のために裏金づくりが行われたのか、その真相を明らかにしようとはしませんでした。萩生田光一氏にいたっては、“事務局のいうとおりにしていたら2000万円が自然に積み上がっただけだ”という驚きの開き直りに終始しました。
自民党は、政倫審に出席したことをもって、萩生田氏と平沢勝栄氏を選挙区支部の支部長としましたが、政倫審は裏金議員の“駆け込み寺”ではありません。自らの保身のために政倫審を利用して、裏金事件の幕引きをはかるなど断じて許すことはできません。石破首相の政治姿勢も、裏金づくりは犯罪であるという認識を決定的に欠いており、自民党の底知れぬモラル崩壊があらわとなっています。
一連の政倫審で明らかになったことは何か。もはや予算委員会への関係者の招致と、証人喚問なくして裏金事件の真相解明はあり得ないということではないでしょうか。
企業・団体献金禁止――自民が反対し国民民主がブレーキ役
政治改革の議論では、自民党の企業献金への異常な固執が際立っています。石破首相は、「企業献金が悪で、個人献金が善という立場はとらない」と開き直り、「企業献金の禁止は憲法に抵触する」という前代未聞の暴論まで主張しました。これらは、「企業献金が廃止されたら大変なことになる」という、自民党の焦りと危機感を示すものです。
わが党は、参議院に「企業・団体献金の全面禁止法案」「政党助成法廃止法案」を提出し、特に、政治改革の核心である企業・団体献金の禁止の実現を強く求めました。企業献金が本質的にわいろであること、日本経団連が政策評価と一体で自民党への企業献金をあっせんし、現に政治がゆがめられていること、個人献金は憲法15条が国民に保障する参政権に基づくものであり、選挙権を持たない企業が政治献金によって政策を誘導することは国民の参政権の侵害であることなど、わが党の論戦は、自民党の暴論を完全に退け、企業・団体献金の禁止がなぜ必要かを太く示すものとなりました。
企業・団体献金の禁止に何が何でも反対というのは自民党だけです。ところが、実現に事実上ブレーキをかけたのは国民民主党であり、その対応は批判されてしかるべきです。わが党は、本日も参議院の政治改革特別委員会で、わが党の法案こそ国民が求める政治改革であることを訴えぬきました。この後の参議院本会議でも討論に立ち、最後まで奮闘します。この国会では、衆議院に野党共同で提出した政策活動費廃止法案が成立しますが、わが党の論戦をおおいに国民に知らせて、企業献金に固執する自民党を追い詰め、必ず企業・団体献金の全面禁止を実現しようではありませんか。
補正予算の二つの大問題――大軍拡と巨額の大企業補助金
「与党少数」となった国会では、補正予算を巡りすべての政党の真価が問われました。
石破・自公政権が提出し成立した補正予算には、大軍拡と巨額の大企業補助金という、二つの大問題があります。
8268億円という軍事費は、補正予算としては過去最大で、能登の復旧・復興のための補正予算の3倍にもなります。そのなかみも、イージス搭載型護衛艦、最新鋭の「もがみ」型護衛艦、地対艦誘導弾などの正面装備、米軍辺野古新基地建設、佐賀空港へのオスプレイ配備のための整備費、馬毛島への米軍戦闘機の離着陸訓練場の建設費など、国民そっちのけの「戦争国家づくり」そのものであり、「特に緊要となった経費に限る」という補正予算の財政法上の原則にも反することは明らかです。この補正予算によって、軍事費は、当初予算と合わせて9兆円規模にもふくれ上がったことも大問題です。
また、半導体やAIなどの大企業への1・3兆円もの補助金は、本来、民間企業が投資すべきものを国が肩代わりするという、まさに財界・大企業への奉仕そのものです。過去にも巨額の公的資金を受けた半導体メーカーが、わずか12年で経営破綻しました。その反省もなく、ラピダスに公的資金1兆円などという経済政策は、国が産業のあり方をゆがめるものと言わなければなりません。
わが党は、これら二つの大問題を正面からただし、「財界・大企業中心、アメリカいいなりの自民党政治のゆがみが典型的に表れた予算」として反対しました。論戦では、大企業の内部留保を活用した大幅賃上げ、生計費非課税と応能負担原則にもとづいて税制のゆがみを正すこと、来年の大学学費値上げを止める緊急助成、医療・介護の基盤崩壊を止める対策など、暮らし応援の具体的な政策を提示して、自民党政治の根本的な転換を迫りました。これこそ、自民党政治から抜け出し、国民の要求に応えて新しい政治をつくろうという日本共産党ならではの対応だったと確信するものです。
一方、国民民主党は、いわゆる「103万円の壁」を引き上げるなどの自公との合意をもって、また維新の会は、「教育費無償化の協議会設置」という合意を理由に、「二つの大問題」を不問に付して補正予算に賛成し、自公政権の延命に手を貸しました。国民の暮らしの要求や、教育無償化を進める上でも、大軍拡と大企業優遇の政治が大きな障害となることは明らかです。
この間、「課税最低限を103万円からどこまで引き上げるか」ばかりがメディアで取り上げられていますが、これは経済政策のゆがみの一部であり、生計費非課税という原則に立った議論こそ必要です。そして、この原則を貫けば、消費税増税を繰り返した自民党政治からの転換が、いよいよ求められます。また、特定扶養控除の引き上げも当然ですが、学生がアルバイトで年間100万円を大きく超えて働かざるをえない要因は、何よりも高すぎる学費、多額の借金になってしまう奨学金制度の問題があり、ここでも大学の経常経費補助を削減し、重すぎる学費負担を学生と保護者に押し付けてきた自民党政治の転換が求められていることを強調したいと思います。
都議選・参院選で勝利し、新しい政治プロセスを前へ
自民党政治に代わる新しい政治を、国民が探求・模索する「新しい政治プロセス」のもとで、これを前に進めるのか、それとも自民党政治の延命に手を貸すのか、こうした、一つひとつの予算案、法案への対応で、今後、いよいよ政党の真価が問われることとなります。
来年は、こうした激動の情勢のもとで、都議選・参院選がたたかわれます。あらためて広く国民の要求をつかみ、国民とともに要求運動にとりくみ、自民党政治をもとから変える対案を掲げ、「新しい政治プロセス」を前に進める国会活動へと、さらに磨きをかけるために互いに奮闘しようではありませんか。
また、選挙での躍進を果たすために不可欠の課題が党づくりです。年末年始の休養をとりつつも、党勢の拡大でも、議員団、事務局のみなさんが、全国の支部と党員を励まして奮闘されることを心からよびかけ、閉会にあたってのあいさつといたします。ともにがんばりましょう。