2022年12月9日(金)
救済法案 衆院通過
共産党反対 被害救済に不十分
自民、公明、立民、維新の会、国民の各党は衆院消費者特別委員会で8日、統一協会の被害者救済法案を修正のうえ、衆院本会議に緊急上程し、可決しました。同法案は同日ただちに参院に送付され、審議入りしました。
日本共産党は、同法案は統一協会による悪質な献金勧誘行為―いわゆるマインドコントロールに適切に対応できないなど、被害者救済や被害防止にきわめて不十分で、5党による修正案でも根本的問題が解決されていないとして反対。同法案を実効あるものにするため、衆院に独自の修正案を提出し、小池晃書記局長が十分な審議のための会期延長を尾辻秀久参院議長に申し入れました。
衆院本会議では本村伸子議員が討論に立ち、統一協会の半世紀にわたる違法な霊感商法や高額献金で人々の財産を収奪し、一人ひとりの人生を壊すなどの被害を広げてきたと指摘。「放置してきた政府の責任は重大だ」と批判しました。
本村氏は、マインドコントロール下での献金を禁止する法律になるかという点で「政府案はきわめて不十分だ」と批判。政府案の「禁止行為」の「困惑させてはならない」との要件は「統一協会の被害実態にあっておらず、救済の範囲を狭めている」と強調しました。
さらに、統一協会被害者救済に取り組む弁護士が政府案に盛り込まれている「適切な判断をすることが困難な状態に陥ることがないようにする」との「配慮義務」だけでは「ほとんど役にたたない」「禁止行為とすべき」と指摘していることを受け止めて、「実効あるものに修正すべきだ」と主張しました。
霊感商法の被害救済に向けた消費者契約法改定案は衆院消費者特別委員会と衆院本会議で可決されました。(反対討論要旨)
共産党が修正案提出
洗脳下の寄付禁止盛り込む
衆院消費者特委 本村氏趣旨説明
日本共産党は8日、統一協会(世界平和統一家庭連合)の被害者救済法案に対する修正案を衆院に提出しました。修正案はマインドコントロール(洗脳)下の寄付の勧誘を禁止する規定などを盛り込んでいます。
衆院消費者問題特別委員会で修正案の趣旨説明に立った本村伸子議員は、政府提出の法案について「統一協会による悪質な献金勧誘行為の特徴である、マインドコントロールに適切に対処できないなど、被害者救済や被害の防止に極めて不十分だ」と指摘。被害者救済につながる実効あるものとし、見直し期間に統一協会の信者2世などの救済の検討を進めるため、修正案を提出したと述べました。
修正案は、寄付勧誘の際に「個人の自由な意思を抑圧」することなどがないよう法人等に「配慮」を課す政府案の規定を、「禁止」規定に改めています。生命保険を解約させて寄付のための資金調達を要求することを禁止し、寄付のための処分が禁止される財産の範囲を拡大しました。
また、寄付をするかどうか適切な判断をすることが困難な状態に陥らせ、またはそのような状態に陥っていることに乗じて「寄付の勧誘をしてはならない」と規定。寄付の勧誘を行う法人を特定できる事項を告げず、個人が誤認して寄付した場合は寄付の意思表示を取り消せる規定も設けました。施行後「3年を目途」とする法律の検討期間を「1年を目途」と改める修正も行っています。
一方、自民、公明、立憲民主、日本維新の会、国民民主の5党は、配慮義務規定を「十分に配慮」とし、怠った場合は勧告や公表を行い、法律の検討期間を施行後2年とする修正案を提出。同委員会で日本共産党の修正案は、同党以外の反対多数で否決され、5党派の修正案は賛成多数で可決されました。