みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

バックラッシュ再考

2005-03-24 08:41:14 | ジェンダー/上野千鶴子
桑名市の「男女平等をすすめる条例」に関連して。
(またまた長いんだけど、ごめん)

「バックラッシュ論争」について、「ジェンダーとメディア・ブロク」にアップされている斉藤正美さんの論文を読んだ。「バックラッシュを強調することへの疑問」、わたしも同じようなことを感じていたと思いだし、送信済みメールを探し、斉藤さんのブログにコメントを書いた。


『以下に、わたしが2003年6月の女性学会大会の「バックラッシュ」をテーマとするシンポに参加して失望した感想をお送りします。これはある方にあてたメールの一部です。
(今ごろ言わないでそのとき言えよ、といわれると困るのですが(笑)市民として参加した率直な感想です)。ちょっと長いのですが、原文のままです。

「・・・・女性学会の報告。初日のシンポジウムはとってもつまらなかった。パネラー3人ともバックラッシュの現状分析だけで、伊藤公雄さんは最初から「今日は行政側に近い(おかかえの)学者としての発言です」とカッコ付きで話にならないし、「バックラッシュにおびえていてはいけないと思った」「選挙が大事だと気が付いた」(亀田さん)、「これからは地域分権がキーワード」(船橋さん)、が結論だったという、えっこれが女性学会???10年遅れてるよー、それに打たれ弱いなぁ、と(失礼)。これではワークショップでの議論も期待できそうにないので「シングルマザーを考える」に出ました。
バックラッシュの有効な対抗手段にどなたも言及されなかったのは残念です。せっかく反論を「女性学会」としてまとめられたのに、それを、いつどこでだれが、どのような手法で使いこなすのか議論されなければ、「絵にかいたモチ」になってしまう。
現場の人間として言えば~条例を意思決定するのは議会なのですが~「声が大きい議員がいるとよい条例でも通らない」「議会はひどい」というコメントがあっただけで、もっぱらロビー活動のことに終始。条例に関しては、根拠法として基本法があるのだから、議会のルールのなかできっちり反論できるし、議会の手続き的にも論理的にも「声が大きい議員」のほうに問題があるので反論できるのに・・・・。
それに条例制定段階での「理念と立法趣旨をめぐる」議会の議事録は、条例の解釈と運用を巡って、あとで司法で係争になった時の、重要な(有効な)証拠となりますから、たとえ通されてしまったとしても、議論の価値はあります。そのためには、議会のルールを熟知し発言できる議員(フェミニストの)がひとり以上いることが必要ですが。
フロアから何か発言すればよかったのかも知れませんが、その気も起きないほどおもしろくなかった、というのが率直な感想です。「つまらんシンポはやるもんじゃない」とつくづく思いました(こんどは責任重大です)。」
(追伸)
「・・・・女性学会のこと。批判しすぎました。
行かないよりは、行ったほうがよかったです。現状もわかったし。
パネラーが研究者ばかりだったからか、バックラッシュに浮足立った雰囲気で腰が引けてて、一面的な議論だったからかもしれません。
メディアを使っての言論でのバックラッシュと、自治体レベルの条例制定への圧力は、根っこはつながっているかもしれませんが、同じものではないと思います。
条例へのバックラッシュは、「既得権をめぐる争い」という視点がないのが残念でした。
市民運動の現場では、バックラッシュどころか、つねに相手は国や利害関係集団の総力戦で、その中で孤立して闘うのは当然のことですから。
バックラッシュの現場も文脈もさまざまですから、仮想敵ではなく、ひとつひとつの起きる現実に確実に対抗して、経験と理論を積み重ねながら、そのノウハウを共有し、ネットワーク化していくことで、現実の状況が変わっていくのに、と思います。
力をつけた市民派議員に対するバックラッシュを予想して、先に対抗手段の答えを出してしまおう、というのが、こんどのシンポを企画しようとしたきっかけです。いっそ「条例へのバックラッシュにどう対抗するか」を分科会にいれましょうか(笑)。ではまた。」』

このときわたしが企画していたシンポとは、2003年11月の「市民派議員アクションフォーラム」のこと。メールの送信先は、上野千鶴子さん。
このフォーラムは、現場の議員と市民と研究者(上野さん)が、それぞれの視点と立場から、共有する問いに、理論的・実践的に答えようとする試みでした。フォーラムの10時間に及ぶディスカッションの記録を精選し再構成した、まさにバックラッシュに対抗する手法を書いた本が、昨年5月に刊行した、
『市民派政治を実現するための本』(上野千鶴子・寺町みどり・ごとう尚子共編著/コモンズ/2004)です。

意見のある方、コメントをどうぞ。


斉藤さんの論文と「ジェンダーフリー論争」はここ。

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