みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

桑名市の「男女平等条例」の反響

2005-04-10 17:06:04 | ジェンダー/上野千鶴子
 斎藤正美さんの「ジェンダーとメディア・ブログ」に、
「市町村合併と条例の行方」(4/10付)というタイトルで、
『む・しの音通信』46号の桑名市の男女平等条例のことに言及されている。
 この条例に関する、いくつかの疑問が提示されたので、わたしに分かることをコメントした。
 以下は、斎藤さんのブログ本文の引用と、コメントのやりとりです。

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(斎藤さんのブログ)「市町村合併と条例の行方」

・・・・・・・・ (略) ・・・・・・・・・・
小川議員のご報告によると、法廷協議会で「新市の男女共同参画事業は現行の桑名市の例による」と正式の協議事項に記述されているが、その後議会が合併に伴う失効に便乗した形をとって「失効を求める」決議を出した。現在、市当局はその「決議を尊重した」形に便乗して、上程に向けた取り組みを怠っているように見える。
私が気になるのは次の2点である。1つは、「失効を求める決議」が「条例改正のための検討・研究が「新桑名市」誕生に間に合わない」という理由を挙げていたことである。2つめは、改正予算が47万1千円ついているという点である。
すなわち、条例が上程されないのは「改正の必要性があるため」とされていることが気になるのである。できたばかりの条例にどのような改正を加える必要があるとみなされているのか。
それに関連して次のような疑問が沸いてきた。

1.「改正」の必要性が出てきたのはどういう経緯によるのか。
2.どのような点を改正することになっているのか、改正内容はまだ論議されていないのか。
3.改正案を審議する委員会は組織されているのか。そこにはどのような人が入るのか。そしてそこには、前の条例案策定に関わった市民も入っているのか。
4.今年度予算で改正がなされるのなら、今年度中に上程案ができるということか。
5.条例改正という決定と、「現行の桑名市の例による」という法廷協議事項の関係はどうなっているのか。
6.小川議員が「男女平等条例を今すぐに上程することを市民とともに市長に訴えていく」と言われるのは、改正しない現行のままの案でということか。みどりさんが「無傷で制定・施行するよう働きかける」と言われているのも、同じことのように思われる。どうやったらそれが可能になるのか。

いずれにしても、みどりさんが言われるように、「せっかく作った条例や制度が、合併のどさくさ紛れに水面下で消されてしまうなど、きっと法の想定外のこと。当事者が(中略)監視し、条例を守っていくことが必要だ」というのに同感だ。・・・・・・・ (略) ・・・・・・・・・
全国で起きている市町村合併に伴い、男女平等(共同参画)条例がどんな状況になっているのか、情報交換していきませんか。

[コメントを書く]

# みどり
『 TBありがとうごさいます。
 とりあえず、記述について、いくつか気がついた点を書いておきます。
1)「法廷協議会」は、「法定合併協議会」です。一般的に「協議会」は意思決定の権限はありませんが、「法定合併協議会」は、「合併特例法」で設置を義務づけられた、「協議機関であり、かつ意思決定の機能を持つもの」です。
2)斎藤さんが「改正の疑問」の前提とされている補正予算471,000円は、「新市」の今年度予算ではなく、「旧桑名市」の17年度補正予算です。「旧桑名市」の予算関係はすべて12月5日に消え、そのままは継続されません。改正条例を出す前段階でなくなった、ということです。
3)「条例改正」は、「条例を改正する条例」でしかできない、というのが地方自治法のルール。議会で議論し議決した議案(条例・予算)は、おなじ議会でしか手直しも廃止もできない、というのが大原則です。条例改正の場合、「改正前の条例」と「改正後の条例」の両方の条文が議案として詳細に示され、提案者から提案理由の説明があります。その理由が適法で妥当かを、議会で審議したうえで、意思決定します。この手続きを厳密にすることで、条例に正統性を持たせ、市民のくらしを法として拘束できるのです。その意味でも、水面下での手直しはとうてい認められません。
4)桑名市の「男女平等条例」は、旧市議会の、「改正決議」も「失効決議」も法的拘束力がないので、合併時点では、無傷(制定・施行されているまま)です。補正予算は、見直しの協議に入るために計上されたものですが、この会議は開かれなかった、と聞きます。「改正条例」が合併に間に合わなかったので、「失効(事実上の廃止)させたかった」のでしょう。
5)わたしの考えは、失効時に無傷の条例なのだから、水面下で手を加えることはできない。「男女共同参画事業桑名市をひきつぐ」という意思決定がされているのだから、そのまま上程し、もし改正が必要だという人がいるのなら、公開の議会(見えるところで)で、正規の手続きで「改正条例」を出したうえで議論すべき、というものです。そうでなければ、法的整合性がなくなります。かりに、こんなことがまかり通れば、条例自体の正統性がなくなりますよね。
6)どうやったらそれができるか?は、重要な戦略ですから、その先はちょくせつ話しませんか?(笑)』

# 斉藤
『これで「無傷」という意味がすっきりとわかりました。要するに、「条例改正」に向けた取り組みは、法的にはかすり傷すらつけられていない、一切無傷ということなのですね。「失効決議」すら法的拘束力がないのに、どさくさに紛れて「あるかのように」振る舞っているということですね、それはひどい!』

# みどり
『 議会の「決議」というのは、一種のアピール(それ以上の意味はない)ですから、政治的な圧力にはなります。だから、行政は見直し作業をしようとした。ただ、たった半年の間に、旧桑名市議会が、あい反する決議をしたのはまったく非常識。なんの問題もない(健康な)条例を、重病だと言いふらし、今は強制的に病院の面会謝絶の部屋に監禁している、といったところでしょうか? こういう理不尽なことが起きるのが、じっさいの政治の現場です。
 行政には(議会ももちろん)、法を守る義務があります。この場合、法的拘束力がある意思決定は、唯一「合併特例法を根拠とする合併協定」ですからその決定を遵守すべきです(まみさんが聞いたところでは総務省もおなじ見解)。ここが守られないと、「法治主義」で公権力を行使している自治体原理自体が危うくなりますから当然でしょう。
 法律による行政原理とは、「行政活動は法律の根拠に基づかなければならない」とする「法律留保の原則」と、「一切の行政活動は法律に違反して行ってはならず、行政上の措置によって実質的に、法律を改廃・変更することがあってはならない」とする「法律優位の原則」の大原則に基づいていて、これが法治行政の根幹です。こんなことは、行政法のABCですから、行政(桑名市)が知らないはずがありません。
 つまり、いまの状態がただちに違法になるかどうかは分かりませんが、少なくとも、「行政不作為(行政が法に従って為すべきことを為していない)」の状態とは言えると思います。だから、いまの状態を放置するのではなく、「市民は条例を施行することを望んでいる」ことを知らせる必要があると思います。法的なルールで論理的にたたかうと同時に、市民側も社会的・政治的な圧力(運動)で状況を動かしていく、ということです。ここからは、あなたやわたしが得意な分野でしょうか?
 わたしは「条例は市民のもの」と考えていますから、まず桑名市民(議員のまみさんも含めて)が行動を起こすのがよいと思いますが、何らかの有効な手段で、まみさんをサポートしたいきたいと思っています。』
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この議論、まだまだ続くと思いますが、とても興味深いでしょ。
この条例に関する議論について、疑問や、ご意見ご感想がある方は、ぜひコメントをお書きください。

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コメント (1)
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