熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

国家の品格

2008-11-02 15:39:26 | Weblog
2,3年前のベストセラー「国家の品格」を読みました。

へそ曲がりな性格のせいか、ベストセラー作品は、しばらく時間をおいてから読むようにしています。
客観的に読むことができること、作者が考えていたことの検証が可能である等がその理由です。

「国家の品格」の著者は、数学者の藤原正彦さんです。
この本を検証的観点から見てみると、「銀行やヘッジファンドはデリバテイブの主役ですから、大規模デリバテイブが一つでも破綻すると、その瞬間に資金の流れは止まり、連鎖的に決済不能に陥ります。一千兆円という数字は、銀行のリスク許容能力である自己資金の総額の数倍にも達しているのです。・・・それが現状では最大級の時限核爆弾のようなものとなり、いつ世界経済をメチャクチャにするのか、息をひそめて見守らなければならないものになっています。」
この記述は、現在のサブプライムローン破綻による世界経済の低迷を見事に予測しています。

当時の変人総理大臣と、この変人に誤った経済政策を進言した元大学教授大臣は、現在の経済状況をどのように総括するのでしょうか。

規制緩和は誰のために進めたのかが、今、明らかになってきています。
アメリカ国民の大半が、ブッシュ大統領のイラク戦争、経済政策が誤っていたと考えており、その答えが大統領選挙で出るはずです。
これに対して、ブッシュ大統領に追従した変人総理と大学教授大臣の反省又は反論が聞こえないのが残念です。

「国家の品格」の内容に話を戻します。
この本は、「論理を徹底すれば問題が解決できるは誤り。」「論理に美しい情緒や形を付加する」ことが述べられています。
著者が指摘するように、論理を重視し過ぎると、金銭至上主義に陥り、弱肉強食、格差拡大等により不安定な社会になります。

論理より善悪の判断を優先させて、論理的に正しくとも善くないことは実行しない、という考え方が大切なのではないでしょうか。
私が子供のころ、大人の人に、「卑怯なことはするな」と言われたことがあります。
強いものが弱いものをいじめるのは、卑怯な行為です。
「卑怯なことはしない」の他に、「お天道様が見ている」も重要です。
誰もみていないからタバコの吸殻を捨てる、ではなく、誰も見ていなくとも悪いことはしない(お天道様がみているから)、という心構えが必要です。

最後に、この本に書かれている、大正末期から昭和の初めにかけて駐日フランス大使を務めた詩人のポール・クローデルの言葉を紹介します。

「日本人は貧しい。しかし高貴だ。世界でどうしても生き残って欲しい民族をあげるとしたら、それは日本人だ」

このような日本人になりたいと願っています。



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