熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

職務発明制度の改正

2013-03-08 08:29:42 | Weblog
政府は今後10年間の知的財産戦略となる「知財政策ビジョン」の論点整理をまとめたそうです。

企業の研究者ら従業員が仕事で発明した「職務発明」について、現在は従業員が保有している特許権を、出願時点から企業が持つことを認める見直し案を検討するとのこと。

従業員には企業に報酬を求める権利を与えることで、企業が訴訟で想定外の高額支払いを迫られる事態を減らすのが狙いらしい。

早速、政府の知的財産戦略本部のHPを見てみると、最新の議事次第の中に、職務発明制度に関する論点整理が掲載されていました。

その内容は以下の通りです。

1.我が国の職務発明制度について、企業のグローバル活動を阻害しないような在り
方は如何なるものか。

2. 職務発明制度の在り方に係る整理にあたっては、産業構造や労働環境が大きく
変化している状況も踏まえつつ、以下のような観点から検討すべきではないか。
①発明者に対する支払いの予見性を高める観点
②発明者への支払いが発明の譲渡に対する対価と考えるべきか、追加的な報
酬と考えるべきかという観点
③従業者の報酬については一般的には労働法で規定されているとこ
ろ、発明の対価に関しては職務発明規定として特許法で規定されていること
について、労働法の視点からも職務発明制度について整理する観点
④グローバルな制度調和の観点

具体的な決定内容は、これから公表されるのでしょうが、どうやら職務発明の特許を受ける権利を使用者に帰属させ、従業者には対価を認めることがキーらしい。

どのような規定にするのかが問題ですが、現行規定と変わらないような制度では改正の意味がないでしょうから、中国のように対価を具体的に法律に明記することになるのでしょうね。

訴訟を避けるために法律で対価を明記することが妥当なのか、疑問はありますね。

裁判所の役割を制限するような議論はどうかと思いますね。

今後の議論の進め方に注目していきましょう。





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