梅の実は葉のかげで葉と同じ色をしているので、木の下でよく見ないと気づかないことが多い。青梅のの香りが、蝶や虻を誘う。梅の実の特性をつかんだ句に
葉がくれにありと思ふゆ実梅かな 高浜 虚子
昔、嫁取りした婿が妻の実家にあいさつに行く、婿入りという慣わしがあった。この慣わしを扱った狂言がある。婿「イヤ申し、こなたの喜ばせらるる事がござる」舅「それはいかようなことでござるぞ」婿「この間おごうは青梅を好いて食べまする」舅「これは一段のことでござる」
「おごう」は妻のこと、「青梅を好いて食べる」のは、お腹に赤ん坊が宿ったことを言っているので、現代ならさしづめ、夏みかんであろう。中世には、夏みかんのかわりに、青梅を食べたのだろう。
ところで、梅干が健康食品で、朝毎日食べるが、この梅干漬けもこれからの家庭で漬けこむ季節がやってくる。秘伝豆の種まき。ニンジンの種まき、秋ダイコンの種まきと忙しい梅雨の農作業が待っている。