炎暑を避けて早朝に畑へ水遣り。今年初めて坊ちゃんカボチャを収穫する。カボチャは葉に隠れるように実をつけるが、取り出してみると自然の造形の美しさに思わず目を奪われる。歳時記を繰ると、カボチャは初秋に入っている。セミが鳴きはじめたばかりで季節は秋へと進んでいる。そういえば、朝の明るくなる時間が少しづつ遅くなっている。
かぼちゃ咲き貧しさがかく睦まする 能村登四郎
戦後の食糧難の時代、カボチャは代用食の代表であった。小学校の昼食の時間、満足な弁当を持ってくるものはいなかった。校長先生が教壇の上で皿に大盛りにしたカボチャを美味しそうに食べていた。友達と掌を開いて見せ合った。どの手もカボチャで黄色くなっていた。成人してからしばらく、カボチャを口にしなかった。貧しい戦後の時代を悲しく思いだすからだ。
そんな食へのかたよりもいつのまにかなくなっている。坊ちゃんカボチャの甘さが、食べた後でまた食べたくなる。今年はカボチャに加えてメロンも植えたので、今から収穫するときを楽しみにしている。