近所の公園の百日紅が咲いた。最近この公園は、近くの保育園の園児たちが来て、遊具で遊んでいる。カメラを持参して花を撮影していると、園児たちが珍しそうに集まってくる。保母さんが来て、「あのおじいさんですか」と聞いてきた。「近所のものですが写真を撮っています」というと、「これ何の花ですか」と聞く。「ああ、百日紅」「ええ、これが百日紅?初めて知りました」という。このごろ公開になったアニメの「百日紅」は知っているらしい。
いまは亡き杉浦日向子の漫画「百日紅」をアニメ化したものだ。この作品は絵師葛飾北斎とその娘お栄を主人公に、江戸の話を繰り広げる楽しい漫画である。百日紅は、この花が梅雨明けのころから秋分のころまで、たくさんの花を咲かせうる百日紅を、多作の画家北斎になぞらえたものらしい。生前の杉浦日向子は、江戸っ子を現代に生かしたような人で、酒を愛し、蕎麦を愛し、銭湯を愛した人であった。蕎麦好きが嵩じて、電車に乗って山形そばを食いにきた。そのついでに居酒屋で、山形の酒を飲む姿が懐かしい。テレビの江戸を舞台にしたお笑い番組があったが、その時代考証を受け持ち、「江戸の隠居」を自称していた。