昨日の夕方珍しい夕焼けが空を染めた。こんな夕焼けの明日は暑くなると思ったが案の定、今日は厳しい夏日になった。時おりベランダから吹き込んでくる風が、かろうじて冷気を運んでくれるが、蒸し暑い猛暑日である。だが、この酷暑もほんの一時である。季節は耐え難い暑さを内包しながら、次の季節を準備している。
さらば、あまりに短かかりしわれらの夏の烈しき光りよ
フランスの詩人ボウドレエルの詩の一句である。この暑いさなかに、野菜や草木は旺盛な成長を見せ、秋風とともにその成長を止める。もう50年も前、北海道から日本で一番の暑い気温の記録を持つ山形にやってきて、その酷暑のなかに身を置いたとき感じたものは、全身を暑さに包まれることの安心感であった。秋風が吹き始めると、夏の暑さがたまらなく恋しくなった。何か心もとない寂しさを感じたものであった。