常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

歌志内

2017年09月08日 | 日記


北海道の空知地方には、懐かしい土地がたくさんある。雨竜、妹背牛、秩父別、砂川、赤平、滝川そして歌志内。歌志内は市制をしいているが、人口3495、日本で一番人口の少ない市である。ここは炭鉱の町で最盛期には、46000を数える市であった。しかし、石炭から石油へ、国のエネルギー政策の変更で、この炭鉱に町は次第にさびれていった。

山林に自由存す
われこの句を吟じて血のわくを覚ゆ
嗚呼山林に自由存す
いかなればわれ山林を見すてし。

こう詩に書いたのは国木田独歩である。明治28年秋9月、国木田は北海道を旅し、この歌志内に来て、空知川の沿岸の森林の深い土地を見に行った。これから鍬が入る未墾の原生林である。恋人佐々木信子と住む、新しい天地を求めたのであった。しかしこの計画は、信子の母の反対であえなくとん挫する。

画家丸木俊(旧姓赤松)の父が、香川県から秩父別のお寺の養子に入ったのもこの時代である。
石狩川とその支流である雨竜川が落ちあうあたり、ぬかるみの続く原生林を切り拓いて、農地にしていく作業は言葉に尽すことのできない苦労があった。あえなく命を落とす人も後をたたなかったであろう。そんな状況で、お寺の果たす役割も大きなものがあった。
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