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萩が咲きはじめた。心待ちにしていた萩の花だ。先日見に行ったときは、花芽が小さく、いつ咲くかも分からなかったが、日当たりのよい枝に、一輪、二輪と咲きはじめている。山上憶良が秋の七草を歌に詠んだが、その第一にあげたのが萩の花である。万葉集で詠まれた萩は、137首もあり、万葉人がいかにこの花を愛していたかが分かる。
吾が待ちし秋は来りぬ然れども萩が花ぞも未だ咲かずける (巻10・2123)
集中には、このように咲くことを待ち望む歌から、満開を喜ぶ歌、雁が去り、萩の季節が去るのを悲しむ歌、すっかり散り果てた花を嘆く歌と、季節を追うように配列されている。歌の多さに加え、さまざまシーンで萩の花への深い思い入れが見てとれる。先日、以東岳からの下りの山道に、ヤマハギの小さな枝に、やはり2、3輪の花が咲いているのを見かけたが、萩はさほど大きくなく、目立たない。万葉人がこの花を秋の第一の花としたのは、その可憐さの故であろうか。
秋さらば妹に見せむと植えし萩露霜負ひて散りにけるかも(巻10・2127)