朝、千歳山の階段の前に立つと、「わあ、昨日と色がちがっている」と言う声が聞こえた。銀杏の色が深まったのだ。この季節になると、郊外の里山でも、日々その表情を変える。7時ころ、この山で顔を合わせるのは、10名内外。ほぼほぼ、同じ人で、すっかり顔見知りになった。考えてみると、お馴染みさんとは、もう何年も前から会っているような気がする。「年年歳歳人同じからず」は漢詩の名句だが、この山限ってこの句はあてはまらないようだ。ここに来る人は、それだけ元気ということだ。むしろ自然の山の表情や植物の変容、紅葉の深まりなど、自然の変化に驚かされる。
楢櫟黄ばむと見るにふりいだす 菊池比呂志
千歳山の散歩で、足指の働きを意識するようになった。ユーチューブで学んだことだが、足指の「ひろのば体操」を行ってから、山道に立つと、足指が地面を捉え、特に下りの歩行の安定感がぐんと増す。滑りそうだ、という不安感がなくなり、下山しても疲労感がない。なぜ、もっと早く、このことに気づかなかったのか。後悔しても時間は取り戻せない。ただ、登山からの引退の時期を少し延ばすことができるかもしれない。