立冬まで5日、日々秋の深まりを感じる。一年が経つのを早く感じるのは、自らの人生もまた晩秋になかにあるからであろう。漢詩には、季節と人生を重ねて詠嘆する詩が多い。その詩にふれると、身につまされる思いがする。
秋尽 館 柳湾
静裏空しく驚く歳月の流るるに
閑庭に独座して思い悠悠たり
老愁葉の如く掃えど尽き難く
蔌蔌声中又秋を送る
蔌蔌とは、葉が落ちる音である。木の葉が落ちる晩秋の庭に景色に、自らの老いの憂鬱を重ねている。この心境は、その年齢になって見なければなかなか理解しがたいものだ。その晩年を、いかに楽しみながらいきるか。その過ごし方で、その人の人生が決まる。