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常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

物忘れ、その後

2017年11月28日 | 日記


川端康成に『山の音』という短編がある。主人公の尾形信吾は62歳、妻の保子はひとつ上の63歳である。息子は信吾と同じ会社に勤めているが、そこでは部屋付きの事務員とともに父の記憶係の役目を果たしている。家庭にあっては、妻と嫁が信吾の記憶係である。会社の仕事でも、家庭でもつい忘れることで、不便を感じる。周りの人の助けが必要な年齢になっているのだ。

妻は信吾の脇でよく眠る。鼾をかくこともある。ある夏の夜、外で虫が鳴いていた。信吾はふと山の音を聞いた。遠い風の音でもあり、地鳴りのような底力のある音であった。気味が悪くなり、脇で寝ている妻を起こそうとも思ったが、深い眠りに落ちている妻の顔を見て止めにした。実は保子は若くして死んだ妻の妹で、姉の看病でこの家に来て、亡くなった妻の後添えになっていた。

信吾は嫁の言葉に自分が肝心なことを忘れてしまっていることに愕然とする。「お母さまのお姉さまがおなくなりに前に、山の鳴るのをお聞ききになったっておっしゃったでしょう。」こんなことを忘れている自分に絶望を感じた。

9月の末にこのブログに物忘れの記事を書いた。「みんなの家庭の医学」を見て、脳内物質を増やして記憶力を復活させる方法に、タオルで両手のひらをこする、ことを勧めていた。あれから約2ヶ月、毎日10分これを継続している。私の場合、いちばん忘れるのは人の名である。それも、テレビで毎日のように見る俳優やタレントの名をすぐに忘れる。不思議に古い昭和の名優、女優の名は意外に覚えている。堺雅人、香川照之、反町隆、福山雅治という、ちょっと忘れるのが不思議なほどの有名人だ。

掌マッサージの効果はどうか。この2ヶ月の結果は?測定する方法もないが、このブログに書くのにこれらの名がすらすらと出てきたので、効果はあったのかな、と感じている。
コメント
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