今日、紅花と不思議な出会いがあった。
午前中、会議で訪れた漆山の畑に、黄色に咲く紅花を見つけ、
スマホで写真に撮った。
夕方、いつも行く日帰り温泉で、顔見知りの温泉仲間から、
「紅花を持っていけ」と言われる。みれば、切り花にした
花束をいただいた。ここ山形では、今紅花の花盛りである。
まゆはきを俤にして紅粉の花 芭蕉
芭蕉が「おくのほそ道」の旅で、紅花大臣といわれた尾花沢で
鈴木清風を訪ねて詠んだ句である。
紅花は紅花染の染料として用いられるが、
江戸時代には花を粉にして、口紅の原料にされ、最上紅は大変な
人気のある商品であった。鈴木清風は、この紅花を扱う大商人と
して知られる。
清風伝説というものがある。元禄15年の夏のこと。
清風の大商いに妬みを覚えた江戸の仲買人たちが、結束して
不買同盟を結んで、清風を懲らしめようようとした。
これを知った清風は怒り、船の積み荷を品川海岸で燃やしてしま
った。その翌日、江戸で紅花の値が暴騰。江戸商人たちは、こぞ
って紅花を買い漁る結果となった。
このために清風が得た利益は、3万両に達したという。
実は船の積み荷はカンナ屑で、一夜にして莫大な利益をあげた。
清風は、「これは尋常な商いで得たものではない」とし、
この金で、吉原の大門を閉めさせ、三日三晩、あわれな遊女たちに
遊興をさせたという。
ちょっと眉唾のような話だが、伝説とは大よそこんなもので
あろう。いま、尾花沢には清風記念館ができて、清風のさまざまな
史料を展示している。