常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

涼風

2018年07月28日 | 日記

涼を求めて蔵王へ。青空のもと、陽ざしは

強いものの、ライザスキー場あたりは、秋

のような涼風が吹いていた。トンボが群れ

をなして飛び交っている。ここを少し登れ

ば樹氷原。アオモリトドマツが大きな枝を

広げている。冬にはこの樹に、季節風に運

ばれる雪が吹き付けると、大きな樹氷がで

きる。

 

樹氷原を過ぎて、エコーラインを横切ると

御田の神に至る。神は石造りの小さな祠だ。

山中に祀られる神は、里の人々の難を除け

る蔵王権現があるが、こんな小さな祠は旅

人の安全に関わるものが多い。行き倒れに

なったものを祀る習わし。埋葬されず行き

倒れになった人の魂は、荒ぶる神となって

旅人に難をもたらす。道行く人が10人いれ

ば5人は通過するものの、残る5人はとり

殺される。神に尋ねると、我を手あつく祀

るならば、荒ぶる心を起こすまいとのお告

げあった。こうしてできるのが、山中で祀

られる神である。きつい山道を行く旅人に

はその道中の安全を計るには、こうした信

仰が必然であった。

磐代の浜松が枝を引き結び

まさきくあらばまたかへり見む 万葉巻2

万葉集に見える有馬皇子の辞世の歌である。

歌意を記せば、

磐代にいらっしゃる神様に申し上げます。

松の枝に私の霊魂を分けて結び付けて、こ

れをさし上げます。どうか旅の平安をお守

りください。もし、願い通りわたしが健康

でありましたならば、またここを通り過ぎ

る折に、ふたたびご満足のいくように、献

上物をさしあげます。

神は皇子の願いを聞き、皇子は再びこの地

を通過している。皇子が罪を問われて殺さ

れるのは、ここを過ぎた藤白の地であった。

コメント
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