一週間前、小さな木に花を可愛い花を咲かせ始めたオクラだが、きょう立派な実が収穫できた。黄色い
実はマクワウリである。昨年はプリンスメロンを栽培したが、いまいち満足できなかったので、マクワ
ウリに替えてみた。メロンに押されて、マクワウリは見かけないが、子どものころスイカとこれがおやつ
でいまだに懐かしい。食べて甘みも少なく、知っている人も少ないが、苗を求めるときマクワウリと表示
されていたので迷わず、これに決めた。実が生って初めてこんな黄色い実であることを初めて知った。
子どものころの覚えているのは緑でタワラ型のものだ。
藤原氏の最高権力者道長にこのウリにまつわる逸話がある。ある年、物忌みで寺に参籠した。従者とし
てともに参籠したのは陰陽師の安倍晴明、観修僧正、医師の忠明、武士源義家の4名である。そこへ、
南都からウリが献上されてきた。道長は、物忌み中にこの献上品を受取るべきを清明に尋ねた。清明は
「ウリのひとつに毒気があります」といって、ひとつのウリを取り出した。観修が加持すると、その
ウリが動き出した。忠明がウリを回しながら2ケ所に針を刺した。義家が刀を抜いてウリを割ると、中
に蛇が入っていた。針は蛇の左右の目に立ち、義家はただウリを割ったように見えたが、蛇の頭を切って
いた。
マクワウリは万葉集で山上憶良も歌に詠み、藤原道長の逸話に登場している。こんな古い時代から日本人
に珍重されてきた。メロンがあっという間に普及した戦後まで、長い年月日本人に愛されてやまない食べ
物であった。今日収穫したウリは、少し置いた香りが立ってきたら食べるつもりである。