土筆
2020年04月14日 | 花

先日、妻が冷蔵庫のなかを整理していたら、何やら中身が不明の瓶詰が出てきた。食べてみたら、去年作った土筆の佃煮であった。味も変わらず、美味で、あの懐かしい味がした。ご飯のお供にもなる。もう、何十年も前、奈良にいた親戚の人から作り方を聞いていた。何でも、住んでいるところでは、土筆は出てくると忽ち採られてなくなってしまう、と出放題のこちらの土筆に感動していたのを昨日のように覚えている。一昨年であったか、そのとき楽しく酒を飲んだご主人が亡くなったと、年賀状の欠礼のはがきをもらった。人の生命には限りがあるが、土筆は変わることなく花粉を散らしている。
くれなゐの梅散るなべに故郷に
つくしつみにし春し思ほゆ 正岡 子規
つくしを漢字で土筆と書くのは納得できる。土から出る筆の形をした花茎だ。杉菜と同じ根から出る花茎で、筆の穂のようなところが花で、ここから花粉を飛ばす。トクサ科で、トクサと同じく節があって、その節にそってハカマと呼ばれる葉がついている。佃煮にするには、穂をとり節についたハカマをとり、たくさんあつめて砂糖をいれた醤油で煮込む。飴色がしてきたら、佃煮のできあがり。こうしておくと、冷蔵庫で長く保存でき、味も変わらないのは家の冷蔵庫で実証ずみである。土筆を唄った童謡が懐かしい。