常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

薔薇

2017年05月24日 | 


散歩道に、玄関から南に面した庭、北側にある車庫まで、薔薇の花に埋もれるようなお宅がある。蔓は二階まで伸び、薔薇の季節はみごとな花が咲く。早朝の通りがかりに、思わず写真機をを向けると、後から来た人から声がかかった。「撮影ですか、ご自宅の薔薇ですか」と言われ、通りがかりで、あまりに見事なシャッターを押したというと、「そうですか」と言って去っていった。誰の目にも、気になる花である。

薔薇咲き詩に倦みがたきしづごころ 飯田 蛇笏

これだけ豪華な花に埋められたお宅からは、やはり洋風なイメージが漂う。まして、アーチ状の門扉にバラが這うと、これはもう洋館と呼ぶべきかもしれない。多忙な一日が、早朝の薔薇を見ることから始まった。パソコンのアカウントの変更もどうやら無事終了。すこし落ちついた日々ばまたやってくる。かすかに雨が落ちた。夜には、すこしまとまった雨になって欲しい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

多忙

2017年05月23日 | 日記


今日も暑さが続く。早起きして、野菜苗へ水やり。トマトとナスの苗の間にバジルの種をまく。ワラビも最盛期を迎えて、親戚から取りに来い、と誘いがある。山行の予定変更と、コースの再設定を行っている間に、カードケースの紛失、免許証の再発行等々、時間に追われる日々。久しぶりに、多忙とはこうだったか、以前はまだまだたくさんの物事をこなしていたことを思い出す。第一生命のサラリーマン川柳、今年の一位は、

ゆとりでしょ?そう言うあなたはバブルでしょ?

ゆとりを持って、行動する猫の姿がうらやましい。精神のパニックから立ち直るのに、これほど時間がかかるとは、実に想定外の現実である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2017年05月22日 | 


季節はずれの暑い日が続く。5月の下旬だというのに、今日の気温は31.5℃。北海道まで30℃越えの地点がたくさんある。花の命は短いというが、この高温では超短命ということになる。やはり標高の高いところに咲く花が美しい。

山路来て何やらゆかしすみれ草 芭蕉

旅に生涯をついやした芭蕉ならではの句である。「野ざらし紀行」で貞享2年3月の半ば、山科から大津へ抜ける小関越えの山道でこの句は詠まれた。目の前にある菫の花に、ふと興を覚え、自ずから口の登った言葉を句にしている。山道で涼風に吹かれている菫は、里で暑さにあえいでいる花にない生気がある。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新緑、檜原峠

2017年05月20日 | 登山


今日、全国的に真夏を思わせる夏日。ここ山形でも、29℃を記録した。新緑を求めて、旧会津街道の檜原峠へ。予想を上回る気温の上昇のなか、新緑のすばらしさと、山中の冷気を堪能した。旧会津街道は、伊達輝宗、政宗、蘆名盛高、穴沢守俊など戦国大名の名をとどめる歴史の道である。後にこの道を通る大峠や栗子隧道の完成によって、物流の道として、この街道は人々に忘れられる存在となるが、戦国から江戸にかけて、道は距離が短いことが何よりも優先された。急峻な道をものともしない兵が、この峠道を越えて、覇権を競ったのである。江戸時代には、金山が発見されてこの地は栄え、檜原宿が賑わいを見せた。

峠道は、平成になって完成した綱木ダムの上流、綱木川の渓谷に沿って、かすかにその跡をとどめている。長持岩、おたすけ茶屋、小峠、大峠など歴史を語る目印が目につく。渓流を渡渉すること5度、さしたる危険もなく街道らしい山道に着く。沢筋には、二輪草やゼンマイなどの山菜のほか猛毒を持つトリカブトも群生していた。山中は静かで、今日の山行仲間(11名)、話し声や笑い声だけが聞こえる。鳥の鳴き声も小さい。所々にクマの糞が、乾燥して落ちている。快晴、青空のなかの新緑はどこまでも目にやさしい。

万緑をかへりみるべし山毛欅峠 石田 波郷



この時期、沢筋を歩くもう一つの楽しみは山菜である。この日見つけて、家づとにした山菜は、アイコ、クワダイ、コゴミ、ミズ、ササタケ。どの山菜も、隣には勢いよく伸び、ちょっと見にはおいしそうに思える猛毒のトリカブトが群生している。細心の注意が必要だ。そして、沢筋に咲く高山の花もひっそりと、高貴なたたずまいを見せる。サンカヨウの白い花に交じって、エンレイソウのエンジ色の花もかわいい。キクザキイチゲや二輪草も随所に咲いていて見ごたえがある。



歩き始めて、約2時間。終点の境塚に至る。戦国の兵士たちを弔った塚でもあろうか。林道のような峠道はこれから先は、福島県になる。

峠にたつとき
すぎ来しみちはなつかしく
ひらけくるみちはたのしい

詩人の真壁仁は「峠」でこう書いているが、戦国の世の人々は、この道に立ってどのようなことを感じたのであろうか。こんなことを考えながら歩く、峠歩きは楽しい。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新緑、尾花沢

2017年05月19日 | 日記


尾花沢は県内でも有数の豪雪地帯である。深い雪から解放されて、里山の庭に木々も、喜んでいる様子をその新緑の色で表している。これは柿の若葉で艶があり俳句の季語にもなっているが、同じ柿若葉でも、尾花沢のは一味違うように感じる。田植えが半ほど済んでいたが、スイカ苗のトンネルがいたるところに張り巡らされている。ここは日本でも有数のスイカ産地である。深い雪とたたかいながら、いかにして美味しいスイカを作るか。環境へのあくなき挑戦が今日の成功をもたらしたのであろう。

米作りも同じだ。昭和9年に東北を襲った冷害は深刻であった。官民あげて寒さに強い品種改良が行われ、尾花沢の玉野、常盤、宮沢地区では「陸羽132号」という品種の栽培が始められた。この米は日本一おいしい米の評価をとった。小粒で、濃い飴色した米で、お茶漬けにしたときに特に美味しく感じられた。お茶漬けをよく食べる東京で大人気を博し、宮内庁の昭和10年の「御料米」には、尾花沢産の陸羽132号が選ばれた。近年山形産の「つや姫」がおいしい米で、高い評価を得ているが、その先駆けは、尾花沢の農家の努力であったといえる。

ヤーコンの植え付けが終わると、親戚のMさんは、「ねまれや」と言ってビールを出してくれた。山に入ってコシアブラを探したが、すでに時期が遅く、もう葉が伸びきってしまっていた。かわりに栽培していたシイタケをハケゴの一杯貰ってきた。

柿若葉重なりもして透くみどり 富安 風生
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする