6月24日、好天に恵まれて、新潟県新発田市の加治川ダム上流にある蒜場山に登ってきた。いや登ったというべきではない。頂上のへの登山道が見える、烏帽子岩(1030m)の地点で登頂を断念、下山した。頂上まで、標高差で300m、1時間の地点であったが、チームには余力のある人、いっぱいの人が混じっていたが、全体を見渡したリーダーの決断であった。自分についていえば、体力を90%使い、果たして帰路の安全が確保できるか不安な状況であった。事前の情報で厳しい山行は覚悟していたが、事前の準備がいかに甘いものであったかを思い知らされた。本日の参加者7名、内女性3名。年間計画では、どの山もこなせる力を持つ人ばかりであった。
烏帽子岩の頂上からは、残りわずかな、登山道が見えている。あと千歳山一つの登りで、登頂に成功できることが期待できる気力がかすかではあるが湧いてきた。家に帰ってカメラのショット数を見ると27、いかに余力のない山行であったがこの一事でもわかる。レンズを谷側に向けると、どこまでも深くえぐられた渓谷にはわずかに積雪を残し、どこまでも深い谷だ。目測でざっと700mはあるはずだ。天気は幸運にも晴れだが、標高の低い新潟の山では、標高1000mでも暑く、冷風もめったに吹かない。急勾配の登り道に加え、とめどない汗が体力を否応なしに奪っていく。しかし、チームの結束力は強く、笑い声をあげながら、忍耐強く上を目指して頑張る。
途中で会った地元の登山者たちのフレンドリーな応対にも癒される。72、73の初老の二人が軽い身のこなしで、追い抜いていった。彼らが休んでいるところで追いつくと、日常の登山体験や新潟の山の見どころを教えてくれる。カットして冷やしたメロンを全員にふるまってくれた。
ヤマレコの登山情報を見ると、すでに6月23日の記録がアップされたいた。それによると、登りの標準タイムが5時間。若く登山に馴れている人にも、この山が難敵であることが了解できる。
登山を開始して3時間に近づいたころ、烏帽子岩のどっしりとした雄姿が目に飛び込んくる。この山行で初めて現れる鎖場だ。ヤマレコにあるような錆は目立たなかったが、急な登りを細心の注意を払ってその頂きに立つ。ここに来て、頂上への登山道がその姿を見せる。その先に構えているのは、山伏峰である。岩の上で話し込んだ二人組が、「じゃあ、頂上で待ったいるよ」と言って、頂上目指して登っていった。今年の山行のなかで、一番の難コースであるのは間違いない。
烏帽子岩への途中下山してくる人たちに逢ったが、3組ほどが烏帽子から引き返し、元気そうな若者も、「へとへとですよ」という言葉を吐く。こんな、状況もここで断念する引き金になったように思う。予想を上回る急な登り、汗が止まらないような暑さ、下山して冷静に判断すると、この決断は正解であったような気がする。蒜場山はかって鉱山で、採掘のレールが引かれ、この山に働く人たち入山したことは間違いない。だが、「米平新道」として登山道が作られたのは、加治川ダムができた後のことである。