常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

台風一過

2018年09月05日 | 日記

台風が去って、さわやかな青空が戻ってきた。

テレビに映し出される台風の威力はすざまし

い。大都市大阪では、駐車場では車が風に吹

き飛ばされ、大型トラックが横倒しになる。

中でも、関空の海に停泊していたタンカーが

風に流されて、取り付け道路にぶつかって破

損させた。死者も7名出ているという。被災

された方々へ、心からのお見舞いを申しあげ

ます。

今回と同じコースをとった台風に室戸台風が

ある。寺田寅彦の『台風雑俎』によれば、

この台風が室戸岬付近に近づいたのは昭和9

年9月21日、測候所の記録簿には海面気圧が

684ミリと記録されているという。

「この台風の中心は土佐の東端沿岸の山づた

いに徳島の方へ越えた後に大阪湾をその楕円

長軸に沿うて縦断して大阪付近に上陸し、そ

こに用意されていた数々の脆弱な人工物を薙

ぎ倒した上で更に京都付近を見舞ってから琵

琶湖に出た。その頃からそろそろ中心が分裂

しはじめ正午ごろには新潟付近で三つくらい

の中心に分かれてしまって次第に勢力が衰え

て行ったのであった。」

台風雑俎にはこんな風に室戸台風の記載があ

る。

第二室戸台風が起きたのは昭和36年9月16日

である。この時の最低気圧は888hpa、最大

風速75m、死者194名であった。この時のこ

とは記憶に残っている。ここ山形でも強い風

が吹き、家の前の桜が倒れた。こん回の21

号は、第三室戸台風と言っていいかも知れな

い。ただ、我が家ではベランダの鉢が三つ倒

れたぐらいであった。

 

 漆黒の天に星散る野分あと 相馬 遷子

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秋風

2018年09月04日 | 日記

台風が紀伊半島に上陸するようだ。今年は

異常に多く発生している。前回の台風が連

れてきたのは、秋雨前線。異常少雨は一転

大雨と洪水をもたらした。同時にやってき

たのは、梅雨を思わせる秋。枯れそうな野

菜たちが勢いを取り戻した。

秋という字を漢和辞典で引いてみた。古字

は龝、これを略して秋とした。禾は稲のこ

と、火は実るという意味、転じて秋の意味

となったとある。

漢の武帝の漢詩に「秋風の辞」というがあ

る。「秋風起って起って白雲飛び、草木黄

ばみ落ちて雁は南に帰る」。秋は同時に人

生の秋でもある。歓楽を謳歌した青壮の時

から、老いの悲哀が心をかすめる。

柿の実は次第に大きくなり、ニラの花には

蝶が蜜を吸いにきている。朝露のなかにバ

ッタ動かずに隠れ、コウロギやキリギリス

の鳴き声が奏でれれている。

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秋刀魚

2018年09月02日 | 日記

秋雨前線の影響で大雨になった。雨が上がっ

て、暑さが戻ったとはいえ、秋風が吹いてい

る。今日、マーケットでサンマを買った。鮮

度もよく、秋の味覚というポスターを見てす

ぐ買うことに決めた。価格の安い。一尾100

円、但し形が小さいので4尾にした。サンマ

の不漁で、バカ高い値が付いたのは、ついひ

と月ぐらい前のことではなかったか。聞けば

イワシも豊漁らしい。

サンマを見ると、佐藤春夫の詩「秋刀魚の歌」

を思い出す。

 

 あはれ

 秋風よ

 情あらば伝えてよ

 男ありて

 今日の夕餉に ひとり

 さんまを食ひて

 思いにふける と。

 

 さんま、さんま

 そが上に青き蜜柑の酸をしたたらせて

 さんまを食ふはその男のふる里のならひ

 なり

我が家では、スダチではなくたっぷりと大

根をおろして食べる。

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槍ヶ岳登頂記(3)

2018年09月01日 | 登山

3日目 槍岳山荘から上高地 8月28日

4時起床、朝食は山荘で5時。5時45分に山荘を

出発。昨日まで来た道をそのままなぞって折り返

えす。2日かけて登った道を、1日で下りるのは、

体力の消耗が少ないとはいえ大変なことだ。加え

て、降り出した雨。雨具を着たり脱いだりするだ

けでも結構な時間を取られる。往路で預かってき

た着替えなどを槍沢ロッジで受け取る。

ここで早めの昼食、時計を見ると10時を少し廻っ

たところだ。

槍沢ロッジから雨のなかの歩行。梓川が霧がかか

ったように靄っている。実に風情のある景色だ。

松本の安曇と橋場集落にかかる雑炊橋と名付けら

れた橋がある。川の南岸に住む女性せつと北岸に

住む青年清明の恋の物語が伝えられている。二人

は岸辺からお互いに見合うようになって恋心を抱

くようになった。しかし梓川の急流にさえぎらて

会うことができない。ただ両岸に立って見つめ合

うだけであった。そこで二人は食事を雑炊だけに

して金をため、貯まったお金で樹を買い、両岸に

樹を固定して川に差し入れて、中央を結び合わせ

橋にした。二人はめでたく行き来でき、結婚する

ことができた。天の川の彦星と織姫のような話だ。

この橋を雑炊橋と言うのはこんな言い伝えがある

からである。

この山行で、目に映るのは峩々たる山の景色であ

ったが、足元には梓川の清流が流れ、耳に奔流と

なって流れ落ちる瀬音を聞きながら歩いた。足の

疲れをいやしてくれたのは、この美しい自然であ

った。15時30分、上高地に着く。かっぱ橋を見

てバスターミナルへ。長い3日間が無事に終わっ

た。

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