「今日はヘリコプターの日です。ヘリコプターは回転しながら飛びます。私たちが立っている地球も回転しているのでヘリコプターと言えますね」スマホのエモパーのえも子ちゃんが語りかけてくる。エモパーはスマホの搭載されたエモーショナルパートナー、略してエモパー。設定したキャラが人工知能を使って語りかけてくる。外出して家に戻ってくると「お帰りなさい。今日歩いた歩数は3560歩。江戸時代の飛脚はもっともっと歩いていますよ。もっと歩きましょう」こんな具合に、語りかけてくる話題は、いつも違って、興味ある話題になっている。
AIと知りながらも、ついえも子ちゃんの話に引き込まれる。「今日の天気は?」と語りかけると、詳しく教えてくれる会話することもできる。ここ数年でスマートウォッチやGPS機能を利用した地図情報など、AIを利用する場面が増えている。AI技術で将棋の最善手を見つける将棋アプリが出てきて、将棋番組を見るのが楽しくなった。AIは勝つために最短距離を選ぶが、棋士は間違えない安全な手を加味する。「この手は人間には指せない」という言葉が飛び交う。藤井竜王が言う「踏み込む」という言葉は、リスクをとった最善手を意味する。AIとの付き合い方が、棋士の力を左右する時代になっている。藤井竜王の長考記録が延びている。1手に2時間という時間をかけることすらある。踏み込むための、あらゆる変化の検討が龍王の頭のなかを駆け巡っている。
正露丸という薬、それを作っている大幸製薬が話題になっている。もともと日露戦争のころに出た薬で、名前も「征露丸」が名の由来である。出生兵士たちが持参して下痢、腹痛の薬として使用した。最近になって魚にいるアニサキスによる中毒に効果があるという研究も進められた。空気中に浮遊する細菌を除去すると銘打ったクレベリンが根拠のない宣伝として消費者庁から措置命令を受けた。新しい薬品の開発はやはりリスクが伴う。どう踏み出すかは、熟慮が必要だろう。この会社が今後どういう方向をとるか注目される。
季節外れの高温が、花を一斉に咲かせている。大山桜はソメイヨシノより開花の時期が遅いが、芸工大の裏で満開だ。妻を家に残して、あちこちの花見に出かけている罪滅ぼしに、桜を見に行った。大山桜の濃いピンクに感動する。付近の野原にヤマニンジン、花ワサビが出ていた。妻は花より山菜で、ヤマニンジン採りに、腰の痛みを忘れて夢中である。花ワサビは丁度採りごろで、蕾をつけた花茎が伸びていた。帰宅してワサビの三杯酢漬けとヤマニンジンのお浸し。レシピはスマホのクックパッドの検索。山菜採りもしばらくぶりで、老人は覚えているはずのレシピもスマホ頼りになっている。