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花の名山と言えば、新潟の角田山、ツツジで名高い高柴山などが思い浮かぶが近年訪れた雄国沼のニッコウキスゲ、作並の鎌倉山のニリン草などが忘れられない。先日登った鶴岡の高館山もその一つに加わった。花見山は福島市渡利にある里山だが、農家人たちがここで花木栽培を始め、多くの人に花を見て欲しいという思いで始まった公園である。ここへ再訪したいと、山友会で企画したが、コロナの感染が広がって2年続けて閉鎖された。3年ぶりに、花見山への山行が実現した。
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今週になって、気温が一気に3日続けての夏日になった。停滞気味であった桜前線は、一昨日に山形に達した。目指す花見山は、昨日28℃、本日29℃と真夏の陽ざしである。花には、こんな気温の上昇は好ましいものではない。8時に歩き始めたが、すでに気温は20℃超え。車を駐めた茶屋沼から、安達太良山の白い山並が見えている。
桜若葉の間にあるのは、
切っても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
智恵子が言い、高村光太郎が詩に書いた「ほんとうの空」がそこにある。公園の頂上に近づくにつれて、全山が花の色に染まっている。桜、花モモ、菜の花、モクレン、サンシュユ。高度を上げると、花の色のコントラストが大きな景観となる。空の青さがいっそう引き立って見える。歩を止めて、カメラに移し、眼で見た景色を脳裏に焼きつける。この後、再度、ここに立てるという保証はない。
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花見山公園展望台からの眺望。花の向うに新緑が始まっている。あと数週間で、緑の夏の山が姿を現す。公園の頂上を行くと、十萬劫山の入り口。ここまで1時間。一気に花が消え、雑木林の静かな芽吹きである。ウグイスの鳴き声が聞こえてくる。本日の参加者12名、内男性3名。
十萬劫山山頂に11時15分着。ここには風神、雷神が祀られている。里山であるが故に、旱魃の夏には、ここでも近隣の農民たちが雨乞いをしたと思われる。ここからの楽しみは、カタクリの群落を見る事だ。枯れた木の葉の間に、カタクリの花が見えてきた。惜しむらくは、少し盛りを過ぎて瑞々しさが失われたことだ。
片栗や自づとひらく空の青 加藤知世子
砂利とアスファルトの林道を歩くこと1時間。駐車場のある茶屋沼に12時30分に着く。桜に風が吹いて、空を白くする桜吹雪。風情のある景色だが、桜の花も数日のうちに姿を消すと思えば寂しくもある。