ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

堀川寺之内の「大本山妙蓮寺」の静寂の中で眺める石庭。長谷川等伯一派の障壁画も見どころ。

2012-11-08 | 歴史・史跡

ある日、京都の町歩きをしていたミモロが、ふらりと立ち寄ったのが、「大本山 妙蓮寺」。

「りっぱなお寺だねー、ちょっと入ってみよう…」と、トコトコと中へ。
境内の木々は、すでに色づいて、秋の深まりを感じさせます。


境内に入ると、目の前に大きな鐘楼が聳えています。


ここ「大本山 妙蓮寺」は、日蓮上人の直弟子の日像上人が、永仁2年(1294)に創建したお寺です。天正15年(1587)の豊臣秀吉の聚楽第造営に際し、現在の堀川寺之内の地に移転しました。それまで、実は、焼失などにより、幾度となく移転を繰り返すことに…。

この地に移転した当時は、1キロ平米の広大な境内になんと27もの塔頭があった大寺院だったそう。天明8年(1788)の大火で、その大部分が焼失し、現在、当時の面影を留めるのは、鐘楼です。

この鐘楼は、元和3年(1617)に建立された袴腰型鐘楼で、江戸時代を代表する貴重な建造物。
中の鐘は、大晦日に信者の方や参拝者が、つくことができるそう。

現在も、境内には、8つ塔頭がある、大きな寺院です。

日蓮上人の御像が鎮座する本堂は、今、改修の真っ最中。日頃は、近くで拝めない御像も現在は、別の場所にうつされ、間近に参拝することができます。



「長谷川等伯の障壁画と十六羅漢の石庭が公開されているんだってー」と、門の脇の看板をみていたミモロは、境内奥の建物へ。

「あのー拝観させていただきたいんですけどー」と、中に声を。建物の中を見まわすと、
「あれ、おくどさんがあるよー」と。ここでは、大晦日訪れた人たちに甘酒がふるまわれるそう。それをつくるのが、このお釜です。


「お庭は、ご覧になれますが、等伯の障壁画を見るには、事前に予約が必要なんです」とお寺の方。
そこで、しかたなく障壁画の方は、写真で我慢することに。

この障壁画は、重要文化財。長谷川派の代表的な作品のひとつで、柳、鉾杉、松桜など全42面という雄大なもの。一度は、拝見したい作品です。

また、日蓮大菩薩第七百遠忌の際に、幸野豊一氏により奉納された「四季の襖絵」も、美しく見事な作品。こちらは、予約なしで拝見できます。



「では、お庭を拝見します」と、ミモロは中へ進もうとして、目にはいったのが、
「わーキレイなスリッパ」金糸がまばゆい豪華な雰囲気のスリッパです。ミモロ、それは、こちらの御坊様のもの。履いてはダメよ。「あ、失礼しましたー」慌てて、足をひっこめるミモロです。

「方丈」と書かれた建物から、お庭を拝見します。

「十六羅漢石庭」とよばれる庭には、秀吉の伏見城から移されたという大きな石が、白い砂の上に配されています。この庭を作ったのは、桂離宮の造園を指示したここ妙蓮寺の僧、玉淵坊日首の作だそう。

「お庭、好きなんですか?」と、お寺のお仕事をされて8年になるという井上幸子さん。

「はい、よくわかんないけど、見てると心が落ち着く気がします」とミモロ。

「このお庭は、今頃から晩秋の時期の午後が、それは美しい表情を見せてくれるんですよ。西に傾く太陽の光が、白い砂の上に注ぎ、砂の上の模様が、刻々と変化してゆくんです。今日は、もう陽が低くなりすぎましたね。もう少し前がよかったのに…」と。
妙蓮寺に通い始めて、庭に映る光の変化の美しさに気がついたそう。「こういうところで、働けて、幸せなんだなぁーと、思いました」と。


井上さんと、静かに庭を眺めるミモロ。
「だれもいなくて、この空間と静かさを独り占めできて、なんか贅沢な感じ…。こんなところに、こんな素敵な石庭があったなんて、知らなかったー。あんまりガイドブックにものってないよねー」

妙蓮寺のある寺之内通は、茶道のお家元がある落ち着いた地域。観光客もあまり多くありません。だから、とても静かにゆったりとお庭が鑑賞できるんです。

方丈の中を進むと、お庭の見え方も、また違ったものに。

横長の大きな石は、涅槃の姿だそう。
春は、ツツジが色を添え、華やかな雰囲気へと変わります。

このお寺には、ほかにも、本阿弥光悦写筆の「立正安国論」(重文)、「妙蓮寺蔵松尾一切経」(重文)、「法華経」(重文)など見どころがいろいろ。

さらに冬には、500年以上の歴史をもつ『妙蓮寺椿』という可憐な椿が花をつけます。

今は、まだ固い蕾。その風情ある姿は、茶花として愛されています。
以前、その苗をお分けした時、近くの茶道のお家元にいらっしゃったお茶の先生方が好んで求められたそうです。

「咲いたところ、見たいねー」と、冬の楽しみがひとつできたミモロです。


「こんどお友達もつれて来ます。あ、もう拝観時間が過ぎちゃったー。ごめんなさい、あまりに素敵なお庭だったから、つい長居しちゃいました」とミモロは、暮れゆく庭の景色を名残惜しそうに眺めながら、お寺を後に…。

夕陽が西の空を染めはじめた境内では、いろいろな花が、見送ってくれました。



*「大本山 妙蓮寺」京都市上京区寺之内通大宮東入ル 電話075-451-3527 10:00~16:00 水曜休み 拝観料/方丈・庭500円 収蔵庫+300円 詳しくはホームページで。



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