京都の中心部から西方向、北野天満宮にもほど近い場所に、「大報恩寺」という、鎌倉初期に、義空上人によって開創された真言宗のお寺があります。
国宝、および重文の仏像を多数安置するお寺で、京都の人には、「千本釈迦堂」という名の方が、知られているようです。
知り合いの仏師の方に、「ここの仏像は、素晴らしいから、絶対一度、見に行ってごらん…」と言われていたミモロ。秋のある日、「どんな仏像があるのかな?」と、楽しみに出かけました。
まず、本堂に上って、お寺の静かさに浸り、心を落ち着けるミモロです。
この本堂は、なんと創建当時のそのまま。京都の町中で屈指の古い建物で、国宝です。
「えースゴイー!応仁の乱でも焼けなかったんだー」
京都の歴史的建物は、応仁の乱や蛤御門の変だけでなく、普段の火災によって焼失したものが多く、実は、江戸時代以降の建物が多いんです。お寺の創建は、古くても、意外に建物自体は、再建されていたりします。
本堂の柱には、なにやら傷が…「これ、応仁の乱の時の傷なんだってー」。
柱に残る深い傷。戦いがいかに激しかったかを物語っています。
御本尊は、釈迦如来。こちらは重文です。
撮影ができなかったので、お見せできませんが、本堂の脇にある霊宝殿には、快慶作の十大弟子像(重文)をはじめ、藤原時代の作と言われる千手観音像など、見事な仏像がずらりと並んでいます。
「すごい迫力…さすが快慶…」と、その仏像にただ見惚れるミモロです。
ミモロが訪れたとき、霊宝殿には、だれもいなくて、存分にその静寂を味わうことができました。ちょっと薄暗い館内にポツンと佇むミモロ。仏像ファンには、垂涎のひとときでしょう。
でも、「誰もいなくて、ホントは、ちょっと怖かったー」と、拝見してから本音をポロリ。あまりに迫力のある仏像に、圧倒されたミモロです。
「仏像好きのお友達に教えてあげよう…きっと喜ぶよー」と。
さて、この「千本釈迦堂」には、仏像のほかにも、見どころが…。
それが、おかめの像や収集されたおかめ人形たちです。
本堂の掲示に従って、脇へと進むと、そこにはガラスケースの中に、たくさんのおかめ人形が、ところ狭しと陳列されていました。
「わーいっぱい…」一口におかめ人形といっても、その姿は様々で、どれもなかなか個性的。
廊下の奥まった場所に、ひときわ大きな像が。ミモロは、深々とご挨拶。
境内には、同じお顔の像が。なんとも福々しい、そしてとてもやさしいお顔です。
ここにおかめの像があるのは、本堂の造営の折、大工の棟梁が、柱の寸法を切り誤り、落ち込んでいた時、妻のおかめが、機転を利かせ、斬新なアイディアを棟梁である夫に伝え、その窮地を救ったのです。しかし、女の提言で、夫が救われたと世間に知れては、夫の名誉にかかわると、おかめは、自害してしまいます。
棟梁は、妻の名にちなんで福面を御幣に飾り、その冥福と本堂の完成を祈ったというお話が伝わっています。今日も上棟式には、京都では、おかめの御幣を上げ、その家の繁栄を祈るとか…。
おかめは、お多福ともいわれ、しもぶくれの顔に、小さな目と低い鼻で、はっきりいって、美人とはいいがたいけれど、どこか愛らしく、親しみやすい顔。
「きっと絶世の美人より、近寄りやすいから、福が寄ってくるのかも…」とミモロ。
ミモロも小さな目に低い鼻、丸い顔で、共通点がある感じ…「えー、そんなー」と、ちょっとふくれて、ますます似てきたミモロです。
福招きのおかめ。お寺では、おかめに因んださまざまなものが用意されています。
まずは、おかめの面。
おかめキーホルダー。
おかめのお守り。
おかめのだるま。
ほかにも手ぬぐいなども。
おかめのお顔を見ていると、思わず微笑んでしまいます。きっとそれが福を招くことに繋がっているのかも…。
*「大報恩寺(千本釈迦堂)」京都市上京区七本松通今出川上ル 電話075-461-5973 本堂、霊宝殿拝観料:500円 9:00~17:00 北野天満宮から徒歩10分ほど。
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