さくらばな霞あまぎる山の端(は)に日もかげろふの夕暮れの空(続拾遺和歌集)
花のうへにしばしうつろふ夕づ くひいるともなしに影きえにけり(風雅和歌集)
この里のさくらを雲とながめつる都ぞかすむ春のゆふぐれ(続古今和歌集)
花の色はそことも知らずにほひきて遠山かすむ春の夕暮れ(続拾遺和歌集)
見わたせば山もとかすむ水無瀬川ゆふべは秋となに思ひけむ(新古今和歌集)
山里の春のゆふぐれ来てみれば入相(いりあひ)の鐘に花ぞ散りける(新古今和歌集)
なにとなくもののあはれぞうちにほふ霞の暮れの入相のこゑ(伏見院御集)
おのづ から入相のこゑもうちしめり雨ふる寺の春のゆふぐれ(前大納言親長卿百首)
夕されば雲のはたてにものぞおもふ天(あま)つそらなる人を恋ふとて(古今和歌集)