行きて見ん深山(みやま)がくれのおそざくら飽かず暮れぬる春の形見に(風雅和歌集)
ふるさとの花のさかりは過ぎぬれどおもかげ去らぬ春の空かな(新古今和歌集)
吉野やま花のふるさとあとたえてむなしき枝に春風ぞ吹く(新古今和歌集)
花は散りその色となくながむればむなしき空に春雨ぞ降る(新古今和歌集)
濡れて居(を)る藤の下かげ露散りて春やいくかの夕暮れの空(玉葉和歌集)
春もはやあはれいく夜にありあけの月かげほそき横雲の空(延文百首)
春のなごりながむる浦の夕なぎに漕ぎわかれゆく船もうらめし(風雅和歌集)